ドイツ連邦議会は5月20日、グローバルファンドの第7次増資(2023-2025年)に対する拠出として12億ユーロ(約12.67億ドル、約1620億円 )の予算を承認しました。スベニャ・シュルツェ経済協力・開発大臣が明らかにしたもので、第7次増資における最初の誓約発表です。
ロシアのウクライナ侵攻により世界情勢が混迷を極め、特に欧州経済が深刻な影響を受けているにもかかわらず、前回の6次増資での誓約を大幅に上回る拠出を決定したことは、ドイツが三大感染症対策と保健システム強化を重視し、G7議長国として、グローバルファンドの増資プロセスを増資議長国の米国とともに牽引するという意思を明らかにしたものと言えます。
グローバルファンド欧州委員会プレスリリース
Germany announces € 1.2 billion to the Global Fund, a first step towards the end of AIDS, tuberculosis and malaria by 2030
また、ドイツはグローバルファンドのみならず、グローバルヘルス分野でのコミットメントを強化しています。5月12日には、米国、インドネシア等とともに世界コロナサミットを共催し、現在G20の要請を受けて新たに世界銀行の金融仲介基金(FIF)として設立が予定されている「健康危機とパンデミックへの備えのための基金」に対しても、5000万ユーロの拠出を表明しています。
(参考)ドイツのグローバルヘルス戦略文書
Global Health Strategy of the German Federal Government
グローバルファンドの増資
グローバルファンドは、3年に一度、感染症対策に必要な資金額を算定し国際社会に呼びかけて資金を調達しており、これを増資と呼んでいます。ドナー国政府の持ち回りで増資会合が開かれることがグローバルファンドの特徴です。各国が資金拠出を表明する「増資会合」とその数か月~1年前に開かれる「増資準備会合」の2会合から成ります。第7次増資は、2024~26年の3年間の三大感染症対策と保健システム強化のための資金を、2023~25年にかけて調達するもので、その前年の2022年秋に、ドナーが多年度の拠出を正式に誓約する増資会合が開かれます。
- 第7次増資会合 米国主催(2022年秋) 準備会合 コンゴ民主共和国、ケニア、
ルワンダ、セネガル、南アフリカ共催(2022年2月) - 第6次増資会合 フランス主催(2019年) 準備会合 インド主催(2019年)
- 第5次増資会合 カナダ主催(2016年) 準備会合 日本主催(2015年)
- 第4次増資会合 米国主催(2013年)
- 第3次増資会合 米国主催(2010年)
- 第2次増資会合 ドイツ主催(2007年)
第7次増資の投資計画書(investment case) は以下の記事をご覧ください。
第7次増資の「投資計画」発表 180億ドルで2000万人の命を救う