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グローバルファンド 140億ドルの増資調達目標を達成

2019年10月14日
グローバルファンド 140億ドルの増資調達目標を達成
10月9-10日にフランスのリヨンで、グローバルファンド第6次増資会合が開催されました。世界各国から議員、国家元首や政府関係者、企業、ノーベル賞受賞者を含む科学者、市民社会、感染症の当事者などおよそ900人が参加し、マクロン仏大統領の強いリーダーシップのもと、保健分野の国際機関としては前例のない140億2000万ドルが、今後3年間の拠出として誓約されました。三大感染症の負担を子どもたちの世代に引き継がせないという固い決意のもと、国際社会の連帯が示された会議となりました。

 

目標の140億ドルを超える誓約

G7国をはじめとする各国政府と民間団体・企業が拠出額を表明(誓約リストはこちら)、ほとんどの国が前回の5次増資より拠出額を増加させたほか、20カ国・組織が新規あるいは復活ドナーとして加わり、支持基盤も広がりました。さらに、支援を受け事業を実施する側であるアフリカ諸国からも、過去最高の23カ国がドナーとして拠出を表明しました。

 
10日の最終セッションで集計結果が発表された時点では合計138億ドル。目標の140億ドルにわずかに届かない状況を見て、壇上のマクロン大統領がフランスの拠出に6000万ドルを追加、割れるような拍手の中でさらにゲイツ財団のビル・ゲイツ共同議長がマッチングで同額を追加することを発表し、139億2000万ドルとなりました。これに加え、両者およびボノが、今年末までに追加で1億ドルを調達することにコミットするというドラマチックな展開となり、今回の増資における誓約総額は140億2000万ドルとなりました。これは、次の3年間にわたり毎日14,600人の命を救い、2030年までに流行が終息する軌道に乗せることにつながる資金です。

 

日本の貢献

日本からは鈴木馨祐外務副大臣が5番目にスピーチに立ち、日本として過去最高額となる8億4000万ドルの拠出を改めて表明し、UHCを推進する国として、感染症対策を通じた保健システム強化、実施国の国内資金の確保、民間セクターとの協働の3つの重要性を訴えました。日本の拠出は今後3年間で100万人の命を救う支援となります。
 
日本政府を代表してスピーチを行う鈴木鈴木馨祐外務副大臣 The Global Fund / Nicolas Rodet
日本は6月のG20開催直前に、安倍総理からグローバルファンド拠出を発表しています。G20国の中では最も早いタイミングで、過去3回の誓約に比べ5%増加で拠出を発表しました。財政難のなか日本が9年ぶりにグローバルファンド拠出誓約の増加を決断したことは、増資の成功に向けて弾みをつけたと高く評価されています。また日本はG20サミットTICAD7など日本が主導する国際会議の場で一貫してUHC推進における感染症対策の重要性とグローバルファンド増資を取り上げ、国際的な気運づくりを牽引してきました。

 

民間の取り組み

武田薬品工業 原龍一氏 Photo: The Global Fund / David O’Dwyer

民間ではビル&メリンダ・ゲイツ財団、(RED)等とならび、武田薬品工業株式会社が5年で10億円の寄付を改めて発表しました。同社を代表して参加した原氏は、グローバルファンドを通じ、アフリカの数か国において産前・産後健診に質の高いエイズ、結核、マラリア対策を統合する事業を支援し、母親と子どもの健康改善に貢献していく決意を述べました。

 

また今回の増資では、資金拠出以外の民間とのパートナーシップもまとまって発表されました。ロックフェラー財団、トンプソン・ロイター財団、ソシエテ・ジェネラル、グーグル・クラウド、マイクロソフト、マスターカードなどが、それぞれが持つ革新的技術や専門性をグローバルファンドに提供し、最も支援を必要としている人たちが薬や保健サービスにアクセスすることを助けるプログラムが実施される予定です。

 

当事者コミュニティの貢献

今回の増資会合を特徴づけたのは、感染症の当事者の存在感でした。2日にわたる会議の随所で、HIVとともに生きる女性、結核を克服した女性、娘をマラリアで亡くした後、コミュニティで啓蒙活動をする男性などが次々と証言に立ち、自身のストーリーを語りました。(RED)のアンバサダーであるコニー・ムデンダ氏は幼いお嬢さんと一緒に登壇し、グローバルファンドが存在していなかったらおそらく今自分は生きてはいなかっただろうと述べ、「運の良し悪しで人生が左右されるのではなく、正義が行われる社会に」と呼びかけました。
スピーチのあと娘を抱きしめるコニー・ムデンダ氏 The Global Fund / David O’Dwyer

最後にグローバルファンドのピーター・サンズ事務局長は、増資のこの結果を導いた議長国フランスとすべてのドナーに感謝を述べ、3年後に次の増資会合で集まる時には、今日の資金が実際にこういう成果を生んだと報告できるようにしなければならないと新たな決意を述べ、会議を締めくくりました。

 

グローバルファンド日本委員会による英文アナウンスメントはこちら


参考

 

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