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グローバルファンド 2026年版成果報告書をリリース

2026年9月16日
グローバルファンド 2026年版成果報告書をリリース
これまでの成果を守り、持続可能な対策へ

2025年、国際保健を取り巻く環境は大きく変化しました。国際保健分野では、資金削減の影響が広がり、HIV、結核、マラリア対策にも大きな影響が及びました。一方で、各国政府、コミュニティ、市民社会、国際機関などが連携し、限られた資源の中でも重要な保健サービスを維持するための取り組みが続けられました。

世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)が2026年9月16日に発表した2026年版成果報告書は、こうした2025年の状況を振り返るとともに、20年以上にわたって積み重ねてきた成果と、それを今後も維持していく上での課題を示しています。

成果報告 ウェブサイト
成果報告書

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【成果報告書の要点】

救われた命の数7200万人、死亡率は65%減

グローバルファンドのパートナーシップの支援により、2002年の設立以来、7200万人の命が救われました(※1)。また、グローバルファンド発足時の2002年以降、グローバルファンドが支援する100以上の国々では、エイズ、結核、マラリアによる合計死亡率が65%減少しました(※2)。これは、20年以上にわたる国際社会、各国政府、医療従事者、コミュニティなどの取り組みが積み重なって生まれた大きな成果です。

しかし、2025年は、こうした成果が揺らぐ一年でもありました。国による違いはあるものの、国際的な資金削減の影響はHIVの予防サービス、結核の発見・診断・治療、マラリア予防キャンペーンなどに及びました。HIVではコミュニティによるアウトリーチや予防プログラムが中断・縮小され、結核では患者の発見や診断、治療に影響が生じ、マラリアでは医薬品の在庫切れや予防活動の遅れも報告されています。

それでも、各国政府、コミュニティ、市民社会、二国間・多国間のパートナーは、重要な保健サービスを維持し、HIV、結核、マラリア対策でこれまで積み重ねてきた成果を守るため、対応を続けました。

 

各疾患の1年間の成果

▸エイズ:治療は維持された一方、予防に影響

HIV対策では、厳しい資金環境の中でも治療とケアの継続が図られました。2025年、グローバルファンドが支援する国々では、HIVとともに生きる人の87%が自らの感染を知り、80%が抗レトロウイルス療法(ART)を受け、74%がウイルス量を抑制していました。

一方、特に影響を受けたのがHIV予防です。HIVの感染を予防する曝露前予防投薬(PrEP)を利用した人は、2025年に110万人となり、2024年の140万人から減少しました。治療を維持するだけでなく、新たな感染を防ぐ取り組みを継続・拡大することが、今後の大きな課題となっています。

同時に、2025年には新しい予防技術の導入も進みました。その一つが、HIV感染予防に用いられるレナカパビル(lenacapavir)です。2025年末からエスワティニやザンビアなどの早期導入国への供給が始まり、2026年には導入国をさらに広げる取り組みが進められています。

▸結核:世界で年間1000万人以上が発症

2024年には、世界で推計1070万人が結核を発症し、120万人超が死亡しました。また、推計される結核患者のうち200万人以上が、診断・治療を受けることも、国の結核対策に報告されることもないままとなっています。グローバルファンドが支援する国々では、2025年に740万人が結核治療を受け、そのうち11万5,000人が薬剤耐性結核の治療を受けました。

一方で、資金不足や紛争、人口移動などにより、結核患者を見つけ、診断し、治療につなげる取り組みは大きな圧力にさらされています。

その中で期待されているのが、新しい診断技術です。AIを活用したデジタル胸部X線や迅速な分子診断、医療施設の近くで検査できる技術(near-point-of-care)などによって、これまで見つけられていなかった患者をより早く発見し、治療につなげる取り組みが進んでいます。

▸マラリア:蚊帳1億9600万張を配布。それでも再拡大のリスク

マラリア対策でも、2025年には大規模な予防・治療活動が続けられました。

グローバルファンドが支援する国々では、

  • 1億9600万枚張の殺虫剤処理蚊帳を配布
  • 3億6700万件のマラリア疑い例を検査
  • 1億6700万人のマラリア患者を治療
  • 5210万人の子どもに季節性マラリア予防投薬を実施

しました。

しかし、マラリアをめぐる状況は決して楽観できません。薬剤・殺虫剤への耐性、気候変動、紛争、人口移動、人口増加、そして資金不足が重なり、これまでの成果が失われるリスクが高まっています。

2024年には、世界で推計2億8200万人がマラリアを発症し、61万人が死亡しました。グローバルファンドが支援する国々では、マラリアによる死亡の約4分の3を5歳未満の子どもが占めています。

 

保健システム強化に約59億米ドルを投資(※3)

HIV、結核、マラリアへの対策を存続させるためには、個々の疾病プログラムだけでなく、それを支える保健システムそのものを強化することが欠かせません。2024~2026年には、グローバルファンドは保健・コミュニティシステムの強化に約59億米ドルを投資しています。前回の事業サイクルから43%増となり、グローバルファンド設立以来最大規模の保健システムへの投資です。具体的には、検査室、感染症サーベイランス、医療用酸素、医療従事者及びコミュニティヘルスワーカー、サプライチェーン、デジタルヘルス、コミュニティによるモニタリングなど、各国の保健システムを支える基盤への投資が行われています。

こうした基盤は、HIV・結核・マラリアだけでなく、エボラやエムポックスなどの感染症、さらには将来の新たな感染症の流行への対応にもつながります。実際、2026年にコンゴ民主共和国(DRC)で発生したエボラ流行では、既存のグローバルファンドの投資によって強化されていたサーベイランス、検査、接触者追跡、感染予防・管理などの仕組みを活用して、迅速な対応が行われています。

 

「成果を守る」から「持続可能な対策」へ

今回の成果報告書がもう一つ強調しているのが、各国がより持続可能な保健対策を実現し、外部資金への依存を減らしていくこと(self-reliance)です。2025年、資金不足や先行きの不確実性を受け、グローバルファンドは第7次事業サイクルの支援を平均11%削減しました。

その一方で、次の増資期間では、最も所得が低く疾病負担が大きい国々を優先しながら、各国による国内資金を活用した保健分野への投資を促し、持続可能性を高める方向へと戦略を転換しています。2027~2029年には、各国による既存の投資に加え、少なくとも14億米ドルの国内資金が追加的に確保されるよう、グローバルファンドが各国と連携して取り組みます。ただし、これは外部からの資金支援が不要になることを意味するわけではありません。成果報告書は、持続可能性には財政面だけでなく、プログラム、疾病の状況、政治的な側面など複数の要素があり、国のリーダーシップとコミュニティの参加が不可欠だとしています。

 

2025年が示したこと

2025年は、これまで積み重ねてきた成果が決して当たり前のものではなく、継続的な取り組みによって支えられていることを改めて示した一年でした。資金不足や先行きの不確実性が広がる中でも、各国、コミュニティ、医療従事者、国際機関などは、限られた資源の中で必要な対応を続けました。一方で、資金の減少が予防や検査、患者の発見・治療などのサービスに影響を及ぼすことも明らかになっています。

20年以上にわたって積み重ねてきた成果を守り、HIV、結核、マラリアとの闘いを前に進めていくためには、持続的な資金に加え、各国の主体性、コミュニティのリーダーシップ、そしてイノベーションを組み合わせていくことが重要です。

 

2030年のSDGs目標達成に向けて

2030年のSDGs目標達成に向け、これまでの成果を維持しながら、対策を継続・強化していくことが重要です。

 

2030年のSDGs目標達成に向けて、国際社会が定めた目標への軌道(下記図の緑の線)には乗っておらず、依然として大きな乖離があります。

▸エイズ


▸結核

 


▸マラリア

 


注記

※1  保健への投資の成果は様々な方法で測定可能ですが、最も重要な尺度は「救われた命」の数です。グローバルファンドの成果報告に含まれる「命が救われた」数値は、グローバルファンドの技術パートナーであるWHOやUNAIDSなどの国際機関や研究機関が推奨する方法を採用して推計しています。特定の年に特定の国で救われた命の数は、主要な疾病介入が行われなかった場合に発生したであろう死亡数から実際の死亡数をひいて算出されています。例えば、結核患者の70%が死亡すると示す研究がある国において、ある年に1000人の結核患者が治療を受け、登録死亡数が100人だった場合、この例では治療により600人の命が救われたとみなすことができます。反対に治療がなければ、700人の命が奪われていたことになります。(詳細は成果報告書p.91参照)

※2 現時点で得られる最新統計に基づきます。疾病負荷(burden of disease)について、HIVは2025年までのデータを使用しています。一方、結核とマラリアについては、成果報告書発行時点で世界保健機関(WHO)による2025年のデータがまだ公表されていないため、2024年のデータを使用しています。結核とマラリアの最新データは、WHOによる公表後、グローバルファンドのウェブサイト内、本報告書のオンライン・インタラクティブ版に掲載される予定です。(詳細は成果報告書p.91参照)

※3 グローバルファンド第7次事業サイクルの承認・署名済み予算に基づく。新型コロナ対応メカニズム(C19RM)を含み、強靭で持続可能な保健システムへの直接的な支援と、エイズ・結核・マラリア対策を通じた保健システムへの間接的支援を含む。触媒的投資および事務局運営費は除く。(成果報告書脚注9、p.70)


以上は、グローバルファンドのResults Report 2026に基づき、グローバルファンド日本委員会の責任で日本語でとりまとめました。

■グローバルファンド成果報告書:FGFJによる日本語サマリー(直近3年)
グローバルファンド成果報告書2025
グローバルファンド成果報告書2024
グローバルファンド成果報告書2023

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