「持続可能な感染症対策に向けて―グローバルファンドによるヘルスファイナンスの取組―」
グローバルファンド ヘルスファイナンス部シニアアドバイザー 稲岡 恵美
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グローバルファンド日本委員会では、このほどFGFJ Issue Brief/論点解説の発行を開始しました。創刊号に続く第2号は、「持続可能な感染症対策に向けて―グローバルファンドによるヘルスファイナンスの取組―」と題して、低・中所得国が援助から自立し、自国予算で感染症対策資金を持続的に確保する取り組みへのグローバルファンドの支援について、グローバルファンド ヘルスファイナンス部の稲岡恵美氏に執筆いただきました。稲岡氏は、2021年に新設されたヘルスファイナンスの専門部署で、自国資金の動員を促進するグローバルファンドのアプローチにシニアアドバイザーの立場から取り組まれています。
そのアプローチとは、1) 被支援国が受ける支援額の一定割合を別途自国予算で措置することを定めるコ・ファイナンス、2) 開発銀行との共同投資により支援額を拡大し、支援の効率化を図るブレンド・ファイナス、3) 被支援国のオーナーシップに基づくアドボカシー・組織強化、4) 他機関とのパートナーシップ、5) 保健データや公共財政管理に関する技術支援、6) バリュー・フォー・マネー(配分の最適化・効率性向上)です。グローバルファンドのこうした取り組みは国際的な保健機関の中で極めて画期的なもので、グローバルファンドが取り組む理由と課題、具体的な取り組みの内容、今後の見通し等が纏められています。
また、日本政府が今春発表した、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に向けたヘルスファイナンスを支援する「UHCナレッジハブ」は、グローバルファンドの取り組みとまさに同じアプローチであり、UHCを世界に提唱してきた国として日本に期待することも記されています。
すべての人が必要な保健医療サービスを経済的な困難なく受けられるようにするためには、医療の資金を確保し、自己負担を軽減することが必要です。これにはヘルスファイナンスを充実させることが不可欠で、グローバルファンドのヘルスファイナンスへの支援について明快に論じられています。ぜひ、ご一読ください。
FGFJ Issue Brief /論点解説とは:
FGFJ Issue Brief は、日本におけるグローバルヘルス政策上の優先課題を毎回一つ取り上げ、その視点から、グローバルファンドによる支援の仕組・成果や将来展望を専門家が解説するシリーズです。幅広いコンテキストの中でグローバルファンドの位置づけや意義、課題を論じることで、政策立案関係者や専門家による議論を活性化することを目的としています。
- No. 1「ルサカ・アジェンダと援助協調の現状と課題」長崎大学客員教授 小松 隆一