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気候変動と健康:COP28関連のグローバルファンドの動き

2023年12月14日
気候変動と健康:COP28関連のグローバルファンドの動き

11月30日~12月13日にかけてドバイで開催された国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)では、今回初めて「Health Day」(健康の日)が設けられ、各国の保健大臣を招待した関連会合が開催されました。気候危機は健康危機である(WHOテドロス事務局長)とし、気候変動が健康に負の影響を与えるのを防ぐための対応が協議されました。

グローバルファンドからもピーター・サンズ事務局長はじめ幹部がCOP28に参加しました。グローバルファンドの活動の中では、特にマラリアが気候変動の影響を受けやすく、気候変動に対応する保健医療制度作りやサプライチェーンからの二酸化炭素放出量の削減が急務となっています。グローバルファンドは保健分野最大の資金提供機関として、気候変動と健康に関連する分野への財政支援について、いくつかの発表をしました。

気候と健康問題の解決のためのファイナンシング:41機関による指導原則の承認

41 Funders, Partners Endorse New Guiding Principles for Financing Climate and Health Solutions to Protect Health

COP28では、12月2日に気候と健康問題の解決に向けたファイナンシングのための指導原則 Guiding Principles for Financing Climate and Health Solutionsが発表されました。原則は以下の通りです(仮訳、詳細は上記ウェブ参照)。

  • 気候変動と健康に関する変革的な解決策を加速させ、現在と将来において人々の命を救い健康を改善する。
  • 最も影響を受ける国やコミュニティの保健と気候に関する優先課題を支援する。
  • 気候変動と健康の解決策に資金を提供するための包括的で公平なアプローチを促進する。
  • すべてのパートナーからの一連の資金を動員する。
  • 気候変動と健康の双方の目標を財政戦略に組み込む。
  • 資金への公平なアクセスを強化する。
  • 総合的なアプローチを支援する。
  • 技術革新と科学的研究開発を支援する。
  • 気候変動と保健課題の解決に向けた資金の連携が、国際的な開発資金制度変革のための広範な取り組みと整合するよう促進する。

グローバルファンドは、緑の気候基金、WHO、ロックフェラー財団、ATACH作業部会とともにCOP議長国に協力し、この指導原則の策定を主導しました。現在、他の国際機関(世銀、ユニセフ、Gaviなど)、民間財団(AVPN、CHAIなど)、政府(英国、ノルウェー、マラウイ)などを含め合計41の資金提供機関がこの指導原則を承認しています。

グローバルファンドのニュースリリースは、気候変動に関する多国間での財政支援のうち、人間の健康を守るプロジェクトに明確に分配されているのはわずか0.5% にすぎず、また、気候変動への適応策の資金のうち5%のみが保健関連のプロジェクトであるとし、最も資金を必要とする国やコミュニティへの資金配分を加速するために、資金提供者の間の協力を促進する必要があると述べています。

 「緑の気候基金」とグローバルファンドによる共同声明

COP28の「健康の日」の当日、グローバルファンドと「緑の気候基金」(Green Climate Fund) は、共同でアナウンスメントを発表しました。
Green Climate Fund and Global Fund Join Forces to Tackle Impact of Climate Crisis on Health
(緑の健康基金とグローバルファンドは、気候変動が健康に及ぼす影響に共同で対応する)

緑の気候基金は、開発途上国の温室効果ガス削減(緩和)と気候変動の影響への対処(適応)を支援するため、気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)に基づく資金供与の制度の運営を委託された基金です(GCFウェブサイト外務省ウェブサイト)。グローバルファンドと緑の気候基金は、それぞれ、気候変動分野と保健分野で最大の多国間資金提供機関であることから、両者はCOP28の機会に協力関係を強化し、今後、資金をアラインさせ、各国がニーズを評価し資金にアクセスできるよう支援し、効果的な介入策のエビデンスを構築することにより、気候変動と健康が交差する分野での資金が増えることを目指すことを発表しました。

サンズ事務局長によるフォーブス誌 への寄稿「気候変動で再びリスク高まるマラリアとの闘い」

グローバルファンドのピーター・サンズ事務局長は、フォーブス誌に和英で寄稿を発表しました。気候変動がマラリアに与える影響を正確に解明する方法はないとしつつも、気温や湿度の上昇、異常気象の頻度と強さの増加により、マラリアを媒介する蚊の生息域が拡大し、世界での感染者数が急増していると気候変動の影響に警鐘を鳴らしています。

例として挙げられているパキスタンでは、22年に発生した洪水で甚大な被害に見舞われ、マラリアの発生数が急増しました。増加したマラリアによる死亡者数は、洪水による直接的な死亡者数をはるかに上回っています。マラリアのような最も気候の影響を受けやすい疾病の脅威を減らすための先制的介入や、気候変動に対する保健システムの強靭性の向上、保健施設やサプライチェーンからの二酸化炭素放出量の削減など、多方面にわたる緊急行動が必要と述べています。

気候変動で再びリスク高まるマラリアとの闘い
Forbes Japan  2023年12月9日
COP28: A Call To Stop Climate Change From Derailing The Fight Against Malaria
Forbes  2023年11月30日

その他参考情報

健康を脅かす温暖化、COP28で医療強化の宣言 120カ国が賛同
朝日新聞アピタル 2023年12月3日

 

 

 

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