4月12日、米国のニュース誌であるフォーリン・ポリシーに世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)のピーター・サンズ事務局長のインタビュー記事が掲載されました。本インタビューでは、G7議長国を務める日本のグローバルヘルス分野におけるリーダーシップやG7の役割に対するサンズ氏の期待が語られています。
Why Global Health Needs Japanese Leadership
Compounding crises are hitting global health. Japan’s G7 presidency can help tackle them.
By Peter Sands, Executive Director of the Global Fund to fight AIDS, Tuberculosis and Malaria.
2023年4月12日
要旨は以下の通りです。
- 日本が議長国を務める今年のG7は、エイズ、結核、マラリアなど三大感染症との闘い、そして強靭で持続可能な保健システムの構築に向けた世界の取り組みを強化させる絶好の機会である。
- 新型コロナ、気候変動、紛争、薬剤耐性など、複合的な危機の連鎖は、資金と政治的関心をめぐる激しい競争を生み出してる。私たちが協力して最も深刻な健康課題に取り組み、より強く、より強靭な健康システムを構築すれば、これまでの感染症対策の進歩を維持し、さらに加速させることができる。しかし、そのためには、国家間および国内にまん延し、深く根付いている健康の不平等と向き合うことが重要である。
- 新型コロナウイルス感染症のパンデミックでは、多くの高所得国が必要な医療品を買い占め、その一方で、貧しい国々は入手できなくなっていた。グローバルファンドが創設メンバーであるACTアクセラレーター*は、複数の組織が協働するリーダーシップの力を実証した。このような協働する努力を積み重ねて、共通する課題に対する解決策を見出さなければならない。全ての人が安全になるまでは、誰ひとり安全ではない。
- 三大感染症との闘いを加速させれば、何百万人もの命を救うと同時に、誰一人取り残さない、より強靭で公平かつ持続可能な保健システムの構築という二重の利益を同時に得ることができる。第二次世界大戦後、結核対策に成功し、そのことでユニバーサル・ヘルスカバレッジ普及につなげた日本から学ぶべきであろう。
* ACTアクセラレータについては、ACT-A WATCHをご参照ください。