12月11日から12日にかけて、イギリス・リバプールにおいて、本年2回目のG7外務・開発大臣会合が開催され、林外務大臣を含むG7各国の外相及びEU外務・安全保障上級代表が出席されました。会合全体に関する議長声明では、新型コロナウイルス感染症の新たな変異株への懸念が示されました。また、来年予定されているグローバルファンドの増資会合が米国主催のもと行われることに歓迎の意が表されました。
(エリザベス・トラス英国外務・英連邦・開発担当国務長官の議長ステートメントより一部抜粋)
世界はいま、オミクロン株という新たな懸念すべき変異株に直面しています。11月29日のG7緊急保健大臣会合の共同声明に沿い、我々は、特に低・中所得国において人命を救い、このパンデミックの急性期を終わらせるために、2022年に世界のワクチン接種に向けて貢献するという我々のコミットメントを再確認するとともに、今年6月のG7首脳会合以降、G7諸国で6億5700万回分のワクチンを分担したことを確認しました。また、我々は、オミクロン変異体を検出し、国際社会に警鐘を鳴らした南アフリカの模範的な行動を称賛します。我々は、世界保健機関(WHO)のワクチン世界戦略を支持し、Access to COVID Tools-Accelerator(ACTアクセラレーター)の全ての柱への支持を改めて表明するとともに、グローバルヘルス・サミットのローマ宣言でのコミットメント*¹⁾を再確認しました。我々は、サプライチェーンをオープンに保ち、地域的なワクチン製造や規制能力を拡大し、保健システムを強化し、質の高いワクチン、治療薬、診断薬、その他必要な保健製品を公平でタイムリー、かつ透明性高く展開、搬送するために協働することを約束します。我々は、オミクロンといった変異株を防御するワクチンや、現在そして将来の健康上の脅威に取り組むため、英国が2022年3月に感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)の増資会合を主催すること、また米国が来年、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)の第7次増資会合を主催することを歓迎します。
(グローバルファンド日本委員会の仮訳)
♦ACTアクセラレーターとは
新型コロナウイルス感染症を収束させる上で決め手となる診断、治療、ワクチンの3つの医療ツールを国際協調のもとで開発、生産し、低・中所得国への公平なアクセスを加速化させるための仕組みのことです。2020年3月のG20の提言を受け、同年4月24日に各国政府とWHO(世界保健機関)を初めとする保健分野の国際機関や財団によって立ち上げられました。
診断部門の主管組織はグローバルファンドとFIND(革新的新規診断薬財団)、ワクチン部門(COVAX)の主管組織はGaviアライアンスとCEPI(感染症流行対策イノベーション連合)、治療部門の主管組織はユニットエイドとウェルカムが務め、これらツールの現地展開を支える保健システム部門は、世界銀行とグローバルファンドおよびWHOが主管組織を務めています。また、WHOは全体のアクセスと分配を調整し、ACT-A執行事務局はWHO内に置かれる。各部門にはその他多くの組織が関わっています。
予算は234億ドル(2021-2022年)に対して、誓約済みはわずか1億4000万ドルで、233億ドル(約2兆5630億円)が不足しています。(2021年12月現在、WHOウェブサイトより)
ACTアクセラレーターの基本情報、進捗状況や課題などは、ぜひこちらのウェブサイト『ACT-A WATCH』 をご覧ください。
♦グローバルファンドの増資
グローバルファンドは、3年に一度、感染症対策に必要な資金額を算定し国際社会に呼びかけて資金を調達しており、これを増資と呼んでいます。ドナー国政府の持ち回りで増資会合が開かれることがグローバルファンドの特徴です。
*¹ グローバルヘルス・サミットに関しては、こちらの記事をご参照ください。