グローバルファンドは、現在、支援対象の低・中所得国が新型コロナウイルス感染症に対応するため、最大10億ドルの資金を用意し、各国からの申請を受け付け支援を強化しています。
グローバルファンド資金の活用
各国がグローバルファンド資金を新型コロナウイルス感染症対策に使うために、以下の二つの方法が設定されています。
- 既に各国に供与されている資金のうち最大5%の範囲内で、コスト削減等により生じた節約資金(savings)を使途変更して柔軟に新型コロナウイルス感染症対策に活用する。(3月4日発表指針、総額は最大5億ドル)
- 新たに設けられた「新型コロナウイルス感染症対応メカニズム」(C19RM)を通じて、各国が新たな資金を申請する。(4月9日発表、最大5億ドル)
いずれも、新型コロナウイルス感染症が、エイズ、結核、マラリア対策に与える影響を最小限にとどめ、また、三大感染症対策と保健システム強化に年間40億ドルを支援し作ってきたメカニズムを新型コロナウイルス感染症対策に役立てることを目的としています。
2か月で1億ドル超を承認
3月4日に最初の指針が発表された後、迅速に申請・承認が進み、4月28日までに、70か国と5つの広域事業がグローバルファンドの資金を新型コロナウイルス感染症対策に使う承認を得ました(承認件数では162件、承認総額1億300万ドル、下図参照)。情報や資金が流れるルートが確立されていたことが、迅速な支援につながっています。
各国では、新型コロナウイルスの診断能力の強化、診断キット、マスクなど防護具などの購入を進めるとともに、既存の三大感染症事業に影響がでないよう対策が始まっています。例えば、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための外出自粛策などにより、マラリア予防のための蚊帳をコミュニティで配布する活動に遅れが生じると、雨期が来てマラリアの発生が急増し多くの感染者・死亡者が出ることは避けなければなりません。またマラリア発生の急増により地域の保健医療体制に大きな負荷がかかり新型コロナウイルスに的確に対応できなくなるなどの悪循環に陥る可能性もあります。
各国が三大感染症対策を進めつつどのように新型コロナウイルス感染症に対応すべきか、ガイダンスが発表されています。
- グローバルファンドのガイダンス(英文)エイズ|結核|マラリア|保健システム
- WHO、UNAIDS、Stop TB Partnership、RBM Partnership to End Malaria などパートナー機関のガイダンス一覧はこちら。
グローバルファンドの新型コロナウイルス感染症対応に関する情報
グローバルファンドの最新情報
新型コロナウイルス感染症対応の特設ページ(英語)で、常に新しい情報が掲載されています。毎週、Situation Report (英語)が発行されていますので、是非ご覧ください。
グローバルファンド日本委員会によるアップデート(日本語)
- 5月1日 グローバルファンド 新型コロナ対策の国際協働の仕組み「ACTアクセラレーター」に参画
- 4月10日 グローバルファンド理事会 新型コロナウイルス感染症に対応する新たなメカニズムを承認
- 4月6日 グローバルファンド:三大感染症の基金が、新型コロナウイルス感染症のためにできること
- 3月27日 世界の健康安全保障を再考する:ピーター・サンズ グローバルファンド事務局長
- 3月26日 新型コロナによる金融危機はなぜ見抜けなかったか – グローバルファンドのサンズ事務局長による投資専門誌への寄稿-
- 3月23日 グローバルファンドの 新型コロナウイルス感染症への対応
- 3月4日 グローバルファンド 新型肺炎への対応指針を発表