グローバルファンド@バンコクから
6月24日~25日、グローバルファンドのパートナーシップ・フォーラムがバンコクにて開催されました。パートナーシップ・フォーラムは参加型の運営を重視するグローバルファンドを象徴する仕組みです。アジア太平洋地域やアフリカから120人以上のNGO・NPO代表、感染症当事者の代表、公衆衛生の専門家、政治家、政府代表、国際機関代表、グローバルファンド職員が参加し、フィールドでの経験を元に、エイズ・結核・マラリアの流行を終息させ、持続的で強靭な保健システムを構築するための戦略を話し合いました。
コミュニティの意見を積極的にくみ取り、支援の方針に反映させることは、グローバルファンドの大きな特徴の一つです。今回のパートナーシップ・フォーラムでは、三大感染症プログラムを推進する上でのコミュニティの役割強化、人権やジェンダーに配慮することでの保健医療へのアクセス保証などについて、参加者から強い要請がありました。感染症プログラムの効果を最大化するために、国境を越えて感染症政策を調和させていく必要性も強調されました。また、紛争、災害や感染症の急な拡大など緊急事態の際には、特別な資金提供やプログラムの見直し、人道支援団体との効率的な連携、正確な情報収集やリスク管理など、グローバルファンドには今以上の柔軟な対応が求められているという声が多く寄せられました。
支援を受ける立場から次のステージへ
アジアでは感染症対策や医療制度全般の向上により、多くの国でエイズ・結核・マラリアの疾病負担が減ってきている一方、急速に経済成長を果たした国の中には、自国の経済状況に見合った予算を感染症対策に割り当てずに、グローバルファンドの支援に頼る傾向があることが指摘されました。自国の感染症対策に対して当事者意識を強め、適切な国家予算を割り当てもらうために、より拘束力のある資金供与メカニズムが必要と同時に、グローバルファンドの支援を受ける立場から次のステージへ円滑に移行ができるように、綿密な計画やサポート体制が不可欠であるという点についても参加者に広く認識されました。
フォーラムでは、若者の発言が目立ちました。「三大感染症は以前にも増して若者に影響を及ぼしている。若者はもっと意思決定のプロセスに参加すべきではないか」とある当事者グループのユースリーダーが若者の積極的な関与を呼びかけました。
同様のパートナーシップ・フォーラムはアフリカのエチオピアと南米のブエノスアイレスでも開催されました。こうした地域会合とオンライン上のe -フォーラムを通じて集まった世界各地からの意見やアイディアや、世界保健機関( WHO)などの国際機関との協議は、提言にまとめられてグローバルファンド理事会に提出されます。理事会は2016 年春に、グローバルファンドの今後の戦略と方向性を決める次期5か年計画(2017-2021)を策定する予定であり、一連のフォーラムはそのためのコンサルテーション・プロセスの一環となります。
FGFJレポートNo.8(2015年9月)掲載