マーク・ダイブル事務局長が、初来日にあたって日本への期待をつづったブログを発表しました。
初来日によせて
世界基金は、今こそ日本を必要としている
The Global Fund Needs Japan Now More Than Ever
マーク・ダイブル
世界エイズ・結核・マラリア対策基金事務局長
2013年3月8日 世界基金ブログ
日本の皆さんは、いつも世界の恵まれない人々に手を差し伸べてきました。
その意思には確固たるものがあります。日本は過去10年の間に世界基金を通じて発展途上国の三大感染症対策を支援してきましたが、2012年にはこれまでで最高額の資金を世界基金に拠出しています。
世界基金のルーツは日本にあります。2000年のG8九州沖縄サミットで、感染症対策のための資金調達機関の必要性が唱えられたことが、世界基金の設立につながりました。
日本による過去最高額の支援の発表は、事務局長に選出されたばかりの私を大きく勇気づけました。経済が混迷を深めるなかでも、苦しんでいる人々のための活動を支え続けて下さる人たちが沢山いることがわかったからです。
日本のこの姿勢は、人間の根本的な特性をよく表しているように思います。人は、お金が余っているから他者に分け与えるわけではない。自分が持っているもので多くの人々を救えることを知っている。だから人は、限られたものを分かち合う――分かち合うことで私たちの心も豊かになるのです。
日本は世界基金の最大の支援国のひとつです。日本の支援を受けたこの10年間で、私たちは大きな成果を挙げることができました。エイズの治療を受けている人は世界で800万人にのぼりますが、そのうち420万人が、世界基金の支援を受けたプログラムで治療を受けています。また、こうしたプログラムで、170万人の妊婦が子どもへのHIV感染を予防するための治療を受けられるようになりました。
アフリカのタンザニアでは、2015年までに妊婦の96%がHIV検査とカウンセリングを受け、HIVに感染した妊婦34万6000人以上が子どもへの感染予防のための治療を受けられるようになることを目指しています。
国際協力機構(JICA)は、特にアフリカの国々で技術支援と感染症対策事業を実施する人々の能力強化を行っており、世界基金の重要なパートナーです。
私たちと、世界中で対策に取り組むこうした仲間たちの取り組みによって、世界は着実に変わりつつあります。エイズに関連する死亡者数は、2001年の210万人から2011年には170万人へと減少しました。また2011年のHIV新規感染者数は2001年と比べて70万人以上少なくなりました。
三大感染症との闘いに、ようやくゴールが見えてきたように思います。10年前には想像すらできなかった偉業です。
私たちはエイズ、結核、マラリアの流行を抑えるという歴史的な好機を迎えようとしています。そして、この闘いを終わらせるために重要な役割を果たしている日本に本当に感謝しています。
世界基金がその任務を果たすためには、これまでの取り組みを続け、同時に細心の注意をはらいながら、この間に得られた数多くの教訓を生かしていかなければなりません。
感染症の流行を抑えるという目標に向けて、後退することなく、その目標を達成するためには、今後も資源を集中させていかなければなりません。疾病対策への投資を今やめてしまえば、この10年間に積み上げてきた成果は水泡に帰すことになるでしょう。ここで立ち止まるわけにはいかないのです。
三大感染症を打ち負かすためには、まだまだ多くの資金が必要です。ビッグ・プッシュ(さらなる一押し)が求められています。世界基金が使命を果たすために、これからも日本は支援を続けて下さる。私たちはそう信じています。
原文
The Global Fund Needs Japan Now More Than Ever
(The Global Fund Blog Posted on: 08 March 2013)