グローバルファンドは世界銀行との共同投資プロジェクトとして、2025年までにユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成するというラオス人民民主共和国政府の目標を支援するために3,600万米ドルを共同投資すると発表しました。これは、昨年10月に両組織が締結した協定から生まれた初のプロジェクトで、各国のエイズ・結核・マラリア流行を終息させ、保健システムを強化するために、お互いの経費を減らしながら成果を増大することを目指したものです。過去数年にわたり両組織が共同で取り組んできた様々なパートナーシップの新たな一例となるものです。
具体的には、2021年1月より、質の高い医療へのアクセスを増やし、ラオス全体の医療システムを強化するプロジェクト「健康・栄養サービス・アクセス・プロジェクト(HANSA)」を開始し、保健省と市民社会組織が、女性や子ども、手の届きにくい地域に住む人々、脆弱で対策の鍵となる人びとに対して、HIVや結核プログラムを含む必要不可欠な健康・栄養サービスにアクセスできるよう支援します。
その際、成果に基づく支援に絞って保健センターや関連部門に資金を提供することで、保健・栄養サービスの質と適用範囲を向上させること、また、対象とする州で栄養介入サービスの利用を増やすことで、世界銀行の取り組む「栄養に関する多セクター収束アプローチ(Multisectoral Nutrition Convergence Approach)」を通じた小児発育阻害への取り組みを支援します。3,600万米ドルの投資には、世界銀行からの2,300万米ドル、グローバルファンドからの1,000万米ドル、オーストラリア政府からの300万米ドルが含まれています。
ラオスは近年、保健・栄養サービスにおいて大幅な改善を遂げてきましたが、妊産婦死亡率と子どもの慢性的な栄養不足の割合は、この地域で最も高い水準にあります。また、過去数年間で、国によるHIVおよび結核プログラムは治療の成功率を高めてきましたが、結核疾患の負担は依然として大きく、HIVの集中的な流行にも直面しており、感染者を十分に把握できていないという課題が残っています。
オーストラリア政府は、世界銀行によるラオスにおける保健分野の取り組みに共同出資しており、グローバルファンドの長年のドナー国でもあります。今回のパートナーシップについて、同国・地域健康安全保障大使のステファニー・ウイリアムズ博士は、「オーストラリア政府の保健部門の目標を、複数の機関が調和の取れた支援を行うことを歓迎しています。これがラオスにおけるUHC達成に向けた進展にもたらす利益を期待しています」と述べました。
また、同プロジェクトには、クリントン・ヘルス・アクセス・イニシアチブ、GAVIワクチン・アライアンス、世界保健機関(WHO)などのグローバル・ヘルスのパートナーが参画し、サプライチェーンと財務管理活動に関する技術支援、結核とHIVの国家プログラムへの支援を提供、国連持続可能な開発目標SDGs)のゴール3への貢献を目指します。
各機関からのコメント:
マーク・エルドン=エディントン(グローバルファンド グラント・マネージメント局長)
「政府、開発機関、市民社会組織の間の革新的な資金調達とパートナーシップは、保健システムへの投資効果を大幅に高め、感染症との闘いの進展を加速させることができます。COVID-19のパンデミックにより、世界中の保健システムがかつてないほどの課題に直面している今、今回のような協力関係は、これまで以上に重要です。」
マリアム・シャーマン(世界銀行ラオス担当カントリーディレクター)
「このプロジェクトは、質の低い保健・栄養サービスや、アクセスの難しさという根強い問題に政府が対処するのに役立つでしょう。女性や貧困層がこれらの問題を最も感じており、保健サービスへのアクセスや支払いが困難であることが、保健と栄養の不公平を助長しています。」
グローバルファンドのニュースリリース:
Lao PDR aims to achieve universal health coverage with new Global Fund, Government of Australia and World Bank investment (2020.11.18)
World Bank and Global Fund Deepen Partnership with Co-Financing Agreement (2020.10.22)