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ウガンダ「反同性愛法」成立を受け、エイズ対策支援の三機関トップが声明を発表

2023年5月30日
ウガンダ「反同性愛法」成立を受け、エイズ対策支援の三機関トップが声明を発表

5月29日、ウガンダのムセベニ大統領が「反同性愛法」に署名し同法が成立したこと受け、グローバルファンド、国連合同エイズ計画(UNAIDS)、米国大統領緊急エイズ救援計画(PEPFAR)のトップ3名が共同で声明を発表しました。同法は公衆衛生上の危機であるエイズの流行収束のために必要な健康教育や予防活動を妨害する、と深い憂慮を示し、同法の再考を求めています。

Joint Statement by the Leaders of the Global Fund, UNAIDS and PEPFAR on Uganda’s Anti-Homosexuality Act 2023
(ウガンダの反同性愛法2023に対するグローバルファンド、UNAIDS、PEPFARの代表による共同声明)
2023年5月29日

※共同声明の日本語仮訳はこちら (エイズ&ソサエティ研究会議HATプロジェクトによる和訳)

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どのような病気であっても、人々が医療にアクセスするためには、信頼がおけ、秘密がまもられ、差別のない環境が必要です。ウガンダはこれまで、HIVの予防と治療で顕著な成果を上げてきた国ですが、この法律によりLGBTQI+の人々に対する差別と偏見が拡大することで、攻撃や罰、さらなる疎外を恐れて、医療サービスを受けることを躊躇する人が増えることが懸念されます。

尚、同法成立前の5月15日、グローバルファンドの政治・市民社会アドボカシー部のヘッドであるリンダ・マフ氏は、ムセベニ大統領に対し同法の廃案を呼びかけるブログを発表しています。

President Museveni, Please Tear Up This Bill (ムセベニ大統領、この法案を廃案にしてください)
by Linda Mafu, Head of Political and Civil Society Advocacy at the Global Fund

南アフリカ共和国出身のマフ氏は、同性愛の子どもの母親として、そしてムセベニ大統領が主導するエイズ対策が多くの人を救ってきたことを知る証人として、「人々が差別や偏見に直面したり、性的指向を理由に虐待されたり、投獄、起訴されたりすると、HIV検査や予防、治療サービスを受ける可能性が低くなると研究で明らかになっています。これらの行為は、保健医療サービスへのアクセスを妨げ、HIVの流行を制御しようとする努力を台無しにします。同性愛嫌悪の高まりにより道徳の危機的状況が起き、すでにこのようなことが起こり始めているのです」と述べ、大統領に対し法案への署名を思いとどまるよう呼びかけていました。

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LGBTQI+を含む感染症の当事者の人々の人権を守ることがエイズ対策にとってなぜ重要なのか、これまでの掲載記事をピックアップしました。是非ご覧ください。(役職はいずれも掲載当時)

●YouTube講座「コロナの先の世界の見方」第三弾 「人権とジェンダーと感染症」
ジャーナリストの堀潤さんを聞き手に迎え、叡啓大学講師の瀬古素子さんから、感染症によって生まれる差別や人権問題について学び、「人権とジェンダー」をキーワードに世界を見ていきます。

ピーター・ピオット氏 HIV予防の拠点コミュニティセンターaktaを訪問
アジア最大のゲイタウンと言われる新宿2丁目にある、東京のHIV予防の拠点コミュニティセンターaktaを、エボラ・ウィルスの発見者の一人で、前国連合同エイズ計画(UNAIDS)事務局長のピーター・ピオット氏(現・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院学長)とともに訪問しました。

当事者コミュニティとともに、グローバルファンドが変わる
グローバルファンドのジェンダー・アドバイザー瀬古素子さんによる寄稿。グローバルファンドがHIV・結核・マラリアの当事者の声をより強く反映したことで、保健医療サービスの質の向上や利用者の増加などの成果が出はじめていると語っています。

 

朝日GLOBE+xグローバルファンド日本委員会のインタビューシリーズ 「国境なき感染症 私たちの物語」

●第6号 コンドーム、チラシ配布…エイズ予防、愚直に訴え20年 新宿2丁目でaktaが存在感
「新宿2丁目」で、同性愛者向けのHIV感染予防の啓発や情報提供に取り組むNPO法人「akta(アクタ)」の岩橋理事長のインタビュー。活動の特徴は、メンバーが地域にあるゲイバーなどの店舗に出向いて啓発するなどの愚直な手法。海外からも評価され、台湾やモンゴルなどにも連携が広がっている。

●第8号 HIV啓発するはずの自分が感染 ゲイの男性が感じた負い目と教訓「自分も人間」
HIV感染予防の啓発活動に取り組みながら、自身も感染してしまったゲイの男性、ジェフリー・アカバさん。アカバさんは「負い目」から感染と向きあえず、治療開始が遅れたといいます。後悔とそこから得た教訓について、話を聞きました。

●第10号 HIV陽性者、セックスワーカー、トランスジェンダー…SDGsが光を当てるべき人たち
国連エイズ合同計画(UNAIDS)パキスタン・アフガニスタン国事務所代表竹本由紀さんのインタビュー。「常に当事者の声に耳を傾ける大切さ」を訴えています。

 

 

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