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グローバルヘルスのパートナーが救命酸素へのアクセスを向上させる、グローバル医療用酸素アライアンス(GO₂AL)を立ち上げ

2023年5月24日
グローバルヘルスのパートナーが救命酸素へのアクセスを向上させる、グローバル医療用酸素アライアンス(GO₂AL)を立ち上げ

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)や肺炎などの急性呼吸器疾患を治療する救命薬ともいえる酸素は、手術、外傷、救急医療、重症患者、高齢者、妊婦、新生児の治療に不可欠です。また、医療用酸素は、将来起こりうる呼吸器疾患の流行に備えるパンデミック対策としても重要なツールであることが証明されています。

新型コロナのパンデミックでは、多くの患者がまさに息絶え絶えになり、低・中所得国における医療用酸素の慢性的な不足を悪化させ、結果として、多数の予防可能な死を招き、既に脆弱な保健システムに一層の負荷がかかりました。

また、新型コロナのパンデミック以前から、低・中所得国では10カ所中9カ所の病院で酸素療法を提供できず、その結果、毎年80万人もの予防可能な死が発生していました。

このような背景から、2021年2月にACTアクセラレーター(ACT-A*)の酸素緊急タスクフォースが発足し、低・中所得国の急性酸素不足に対応するために、多国間機関の対応調整と資金調達がなされました。

WHOが新型コロナの感染拡大を受けて出した「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を終了する中、グローバルヘルスのパートナーによって、グローバル医療用酸素アライアンス(Global Oxygen Alliance:GO2AL)が新たに発足しました。生産拡大、酸素価格の引き下げ、各国政府への技術支援のための資金提供など、医療用酸素へのアクセスを高めるために10億米ドル以上を調達したACT-A酸素緊急タスクフォースの不可欠な活動を継続します。なお、ACT-A酸素緊急タスクフォースの成果として、世界最大の医療用酸素供給会社2社との画期的な協定の交渉、低・中所得国での酸素の地域生産拡大計画の策定、100カ国以上での治療施設の改善支援などが挙げられます。

GO2ALは、低・中所得国が医療用酸素の入手と供給の大きなギャップを埋めるために、持続的な支援を提供することを目的としています。具体的には、新型コロナ危機の際に行われた酸素システムへの投資が持続するよう、技術協力、資金調達、能力開発、需要創出を通じて国々を支援します。また、GO2ALは政治的なアドボカシーを行い、現場で酸素システムを機能させている人々や、酸素を必要としている人々の声を代弁していく予定です。

ユニットエイドのフィリップ・デュネトン事務局長は、「酸素療法を拡大する必要性は十分にあります」と述べています。「新型コロナ以外の疾患、例えば5歳未満の子どもの主な死因である肺炎などが原因で、毎年100万人以上が低酸素血症、つまり血液中の酸素が少ないために亡くなっています。これは容認できないことであり、これ以上続けていいはずがありません。」

医療用酸素へのアクセスは、重症マラリア、進行したHIV疾患、結核の治療にもつながります。酸素とパルスオキシメーター(患者の血液の酸素飽和度を測定する携帯機器)を完全に利用できるようになれば、入院中の子どもの死亡率を40%も減少させることができます。

グローバルファンドのピーター・サンズ事務局長は、「医療用酸素と呼吸器ケアへのアクセスは、強靭で持続可能な保健システムの重要な要素であり、パンデミック対策に不可欠な要素です。」と述べています。「GO2ALのパートナーとの新たな連携により、低・中所得国の全ての人々が質の高い医療用酸素サービスに支払い可能な金額でアクセスできるようになります。酸素供給システムに対する持続的な投資は、今、命を救うのみならず、将来の脅威に対するサージキャパシティをも構築するものです。」

GO2ALは、2022年9月に発足した医療用酸素セキュリティに関するランセットグローバルヘルス委員会(Lancet Global Health Commission)と密接に協力しています。これは、酸素研究の大きなギャップに対処し、医療用酸素の提供を加速させるために幅広いステークホルダーと連携し、世界的に死亡率と罹患率を削減することを目的としています。

Lean On Me Foundation事務局長兼GO2ALコミュニティ代表のメーン・ムレンガ氏は「被害に遭ったコミュニティは、GO2ALのイニシアティブを歓迎します。このプラットフォームを通じて、医療用酸素へのアクセスがそれにふさわしい緊急性をもって扱われることを確信しています」と述べています。「また、地理的あるいは経済的な状況に関わらず、誰もが生きるために必要な医薬品を入手できるようにするために、最新のイノベーションを受け入れるような世界的な連帯と政治的なコミットメントが必要です。私たちには、低酸素血症によって毎年失われる何百万もの命を救うチャンスがあるのです。」

GO2ALは、ユニットエイドとグローバルファンドが共同議長、汎米保健機構(PAHO)とアフリカ疾病対策センター(アフリカCDC)が副議長、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)、ユニットエイドが事務局となり、2023年4月に発足しました。

下記のACT-A酸素緊急タスクフォースのメンバーは、GO2ALへの参加を決定しています。 医薬品アクセス財団、アフリカCDC、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、クリントン・ヘルス・アクセス・イニシアティブ、エブリ・ブレス・カウンツ連合、グローバルファンド、汎米保健機構、PATH、セーブ・ザ・チルドレン、UNICEF、ユニットエイド、国連プロジェクト・サービス(UNOPS)、米国国際開発庁(USAID)、WHO、世界銀行。また、GO2ALは、より強力で多様性のある包括的なものとするために、低・中所得国、市民社会、コミュニティからの代表を含む新しいメンバーを募集しています。

 

原文:The Global Fund’s blog post on the launch of the Global Oxygen Alliance(2023年5月24日) (GO2AL)をもとにグローバルファンド日本委員会にて作成。


*ACTアクセラレータの詳細については、ACT-A WATCHをご参照ください。

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