「HIVは様々な問題をもたらすけれど、きっと克服できる。私の経験から、多くの女性にわかってもらいたい。HIVに感染しても健康でいられるし、HIVに感染していない赤ちゃんを産める」
―Lucheriaさん、南アフリカ
このビデオは、グローバルファンドとユニセフが2年間にわたって取材した、南アフリカとマラウィに住むHIVに感染した妊婦たちのストーリーです。南アフリカとマラウィでは、HIVによる深刻な被害を受けています。カメラを前に、彼女たちは妊娠中の不安や赤ちゃんに託した希望、HIVに感染しない健康な赤ちゃんが生まれるための苦労や努力について話してくれました。
世界では毎年、推計150万人のHIVに感染した女性が出産しています。もし、妊娠、出産および授乳中にHIV母子感染予防の治療を受けないと、赤ちゃんにうつす確率は45%です。しかし、母子感染予防に有効な抗レトロウイルス薬が開発されているので、きちんと予防治療やケアを受ければ、母子感染のリスクを5%以下に抑えることができます。
どんな治療?
HIVに感染した女性は妊娠中に毎日一錠の抗レトロウイルス薬を服用する必要があります。そして、産道での感染を防ぐために、帝王切開の出産が望ましいとされています。また、出産時に適切に抗レトロウイルス薬を使うことでリスクを減らすこともできます。
赤ちゃんには生後6週目まで抗レトロウイルス薬を投与し、授乳期間中も定期的に検査する必要があります。また、母乳からの感染を防ぐために、母親は授乳中にも抗レトロウイルス薬を服用しなければいけません。
母子感染予防は薬の投与にとどまりません。母子の健康を確保するためのアウトリーチ・ワーカーによるコミュニティのサポートや医療サービスの向上なども含まれています。
確実な成果
1994年、母子感染予防に抗レトロウイルス薬が導入されてから、母子感染が減りました。ユニセフの報告によると、2005年~2013年の間、15才以下の子どもの新規感染は50%も減少し、推定110万人の子どものHIV感染が回避されました。
また、HIVがまん延するアフリカの21ヵ国における母子感染予防治療へのアクセスも、2009年の33%から2013年の68%に増えました。特にボツワナ、ナミビア、南アフリカやスワジランドの4か国に関しては、90%以上のHIV陽性妊婦が母子感染予防治療が受けています。
今後の課題
このように、HIVの母子感染予防に大きな進展があったものの、全体で見るといまだにHIVに感染した妊婦の10人に3人が貧困、社会からの差別、脆弱な医療システムなどの理由で、母子感染予防の治療が受けられません。
グローバルファンドの支援は、約1億4500万ドルが母子感染予防治療に充てられています。2002年に設立されてから2014年までに、グローバルファンドは支援しているプログラムを通して、270万人の女性にHIV母子感染予防治療を提供しました。これからもユニセフをはじめ、多くの国際機関や現地のパートナーと協力しながら、必要とするすべての女性に有効な母子感染の予防治療を提供していきます。