世界基金は、2月4日付で、資金管理強化と不正防止のための強化策を発表しました。
世界基金プレスリリース
The Global Fund announces measures to enhance financial safeguards and strengthen fraud prevention
日本語(仮訳)
世界基金 資金管理強化と不正防止強化策を発表
2011年2月4日ジュネーブ―世界基金は本日、(資金受入国における)資金管理の強化と、不正使用や不正行為の発見と予防のための強化策を発表しました。また、有識者による国際委員会を設置して、世界基金のシステムを再確認し、資金の不正使用防止のためのアプローチを世界で最も強固なものとする考えを示しました。
世界基金によるこれまでの支援額は、世界145カ国に対し総額130億米ドルに上ります。ミッシェル・カザツキン世界基金事務局長は「世界基金が支援するプログラムは700万人の命を救い、三大感染症の猛威が世界中に広がるのを阻止しています」と語っています。
世界で最も貧しい国々における救命活動には確かにリスクを伴う半面、世界基金としてはこれまでも不正に対して断固たる姿勢を貫き、一切妥協しない方針を貫いてきました。「それゆえに、資金の安全管理と不正防止対策は最強の水準を保ち、また不正が発覚した際には速やかに強硬な手段を講じています」とカザツキン事務局長は強調しています
昨年12月に世界基金の監察総監(訳注)から、4カ国における資金の不正使用が公表されたため、該当する案件への支援は一時停止あるいは打ち切られました。さらに追加措置として、不正が懸念される資金管理基盤の弱い2カ国と、薬品盗難の恐れがある5カ国にも安全強化策を打ち出しました。さらに世界基金が支援するすべての研修プログラムは、より詳細な研修計画が認定されるまで凍結されています。数カ国で判明している使途不明の3400万米ドルに対しては返還を求めている段階です。
本日発表された資金の安全管理強化策の主なものは以下の通りです。
- 資金受入国における(世界基金援助資金の)支出をモニタリングする組織の権限を拡大し、不正の防止と発見を強化
- 国別調整メカニズムにおける関係団体による支援案件の監視役割を強化
- 不正が生じやすい事業(研修など)の監視を強化
- 各国に対する支援の一部を、国内での資金の流れの把握と管理体制強化に充当
- 資金管理に携わる世界基金の職員増強
- 監察総監室の予算を倍増
カザツキン事務局長によれば、上記の対策のいくつかはすでに開始されており、6月までにはすべて実行される予定です。
有識者による国際委員会
上記と並行して、世界基金では資金管理や監査手順を見直すために有識者による独立した国際委員会を設置します。国際的に活躍する著名な専門家で構成されるこの委員会は、世界基金が非常に高い監査基準を設けていることを実証し、必要に応じてさらなる強化策を提案することになります。
「世界基金に拠出するドナーや一般社会には、我々のシステムや監査手法は資金の不正使用を未然に防ぎ、あるいは発見し、さらに不正があった場合には直ちに対応するための万全の体制を整えている、と確信を持っていただきたいのです。そのためには、有識者による独立委員会に活動内容を評価してもらうのが最も確実と考えています。同時に、この委員会から適切な助言や提案を受けてさらに高い資金管理基準を整えたいと考えています」とカザツキン事務局長は述べています。
同委員会は本年5月の理事会に報告書を提出する予定です。世界基金の他の報告書と同様にこの報告書も公開されます。
テドロス・アドハノム・ゲブレイェスス世界基金理事会議長(エチオピア保健大臣)は、「透明性と説明責任は世界基金の基本原則です。なぜなら、ドナーから頂いた寄付金を最後の1ドルにいたるまで効果的に使い、受益者の利益を守るためには、透明性と説明責任が欠かせないからです。世界基金はマラリアと結核対策のための国際的資金援助の3分の2を担い、また世界でエイズ治療を受けている500万人の半数以上の費用を負担しています。本日発表された安全管理強化策は、保健分野で中心的役割を果す多国間援助機関の資金に関する信頼と人命救助活動をさらに進展させるものと固く信じています」と述べています。
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【 監察総監/監察総監室(Office of Inspector General: OIG) 】
世界基金では、透明性とアカウンタビリティ確保のため、支援対象国内の監査システムによる通常の財務・事業監査に加え、2005年に世界基金監察総監室を 設置し、独立の監察体制をもっている。監察総監室は世界基金事務局からは独立しており、世界基金理事会の直下におかれる。OIGの詳細はこちら