新型コロナ対応の最新の状況

この記事の掲載日 : 2021年09月30日(木) この記事のカテゴリー :



新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)に関する最近の動向、グローバルファンドの対応の状況などについてご紹介します。

新型コロナを取り巻く動き

現在の状況

感染者数:2021年の最初の5カ月間に報告された新型コロナの感染者数は、2020年全体を上回りました。一部の国では、高いワクチン接種率や保健サービスの提供により重篤化や死から守っているにもかかわらず、世界全体を見れば、以前としてパンデミックの急性期にあると言えます。(8月16日付けWHOニュースリリースより抜粋)

医療用酸素不足:多くの低・中所得国で、救命のための医療用酸素が依然として必要な状況です。PATHの COVID-19 Oxygen Needs Tracker によると、1日あたり最大1210万立方メートルの医療用酸素を必要としています

深刻な検査の状況:低・中所得国を中心に検査率が極めて低く、FIND SARS-COV-2 TEST TRACKER によると、人口10万人あたりの1日の検査数は、高所得国の750件に対し、低所得国では8件と100倍近い開きがあります(9月30日現在)。低所得国では、新型コロナがどう進展しているのか把握できず、新しい変異株に対して脆弱な状況にあります。

77億ドルの資金拠出の緊急呼びかけ

先月、Access to COVID-19 Tools Accelerator(ACTアクセラレーター)は、新型コロナの変異株の急速な拡大を食い止めるため、77億ドルの資金拠出を求める緊急の呼びかけを行いました。77億ドルの内訳は以下の通りです。詳細は、日本国際交流センター発行の『ACT-A WATCH』に詳述していますので、ご覧ください。

・検査の規模拡大(24億ドル)
・最前線で働く医療従事者の保護(17億ドル)
・医療手段(ツール)の展開(14億ドル)
・酸素の緊急ニーズへの対応(12億ドル)
・継続的な研究開発(10億ドル)

なお、この77億ドルは、追加資金ではなく、ACTアクセラレーターの2021年全体予算の一部であり、今後4カ月以内に至急要するものです。

グローバルファンドの新型コロナ対応

最新の対応状況(2021年9月14日現在、出典:グローバルファンド

コロナ対策への承認済資金合計:36億ドル(約3990億円*²)
 このうち、酸素関連に4.78億ドル、検査関連に8.15億ドル、個人防護具に7.45億ドル
グローバルファンドの支援を受ける国の数:107か国及び18の広域プログラム

各国の資金の使途(2021年9月29日現在、出典:グローバルファンド

このグローバルファンドのコロナ対応メカニズム*³への各国の申請の資金使途の内訳は以下の通りです。
全国における新型コロナ対応の強化(72%)
検査、治療(酸素含む)、最前線で働く医療従事者向け研修、手袋やマスクなどの個人防護具、追跡・隔離などの対策支援など。
三大感染症に与える新型コロナの影響の軽減(16%)
医薬品、蚊帳、重要物資の戸別訪問による供給、コミュニティ・ヘルスワーカーへの支援、デジタル・プラットフォームを通じた支援など。
保健やコミュニティのシステムの早急な改善(12%)
供給網、検査ラボのネットワーク、コミュニティ主導の対応システムの強化など。

主な支援内容(2021年9月29日現在、出典:グローバルファンド

以下、ACTアクセラレーターの枠組みで実施されています。

(1)診断・検査

グローバルファンドは、PCR検査と迅速抗原検査の組み合わせを推奨するとともに、国家検査戦略の開発や実施を支援しています。 さらにグローバルファンドは、結核の診断やHIVウイルス量のテストを実施するための施設として建設されたラボを利用して、新型コロナウイルスに対応しています。

グローバルファンドが運用する調達サイトwambo.orgを通じて、90カ国で3800万件以上の診断テストを調達。

  • 迅速抗原検査:49カ国から2950万件
  • 自動PCR検査機器:86カ国から620万件
  • 手動式PCR検査機器:230万件

(2)治療

グローバルファンドは、WHOが推奨するコルチコステロイド薬の使用を支援しています。
2020年8月以降、グローバルファンドが運用する調達サイトwambo.orgで酸素装置の調達が可能で、これまでの調達は最大4億7800万ドルに上ります。(9月17日現在)

(3)保健システムコネクター

必要な医療サービスを安全に提供するために、医療従事者に個人用防護具(PPE)を提供しています。また、診断テストやワクチン接種を効果的に展開するために、支障になっているものを特定して対処することを支援しています。グローバルファンドは、PPEの調達、サプライチェーンの強化、コミュニティ主導の対応への支援に注力しています。
コロナ対応メカニズムからPPE購入への配分額:7億4500万ドル(9月17日現在)
wambo.orgを通じたPPE購入:61カ国

各国における新型コロナの影響のモニタリング状況

グローバルファンドが支援する三大感染症対策事業の進捗状況をモニタリングしている現地の機関が、実施中の事業の潜在的リスクや中断のリスクを特定するために、隔週でオンライン調査*⁴を実施しており、次のことが分かっています。(2021年9月1日現在)

(1)ロックダウン

グローバルファンドが支援する国の34%が全土ロックダウン中、22%が局地的にロックダウンしており、グローバルファンドが実施するプログラムに影響が出ています。

(2)保健サービスへの影響

3疾患を比較すると、エイズと結核の保健サービス提供のリスクは引き続き減少しています。非常に大きな影響が出ていると報告したのは、マラリアの3%に対して、結核は1%、エイズは0%でした。

(3)主要医薬品供給への影響

エイズの主要医薬品の供給リスクは、比較的高い状態が続いていますが、9月1日時点では低下しています。この3つの疾患については、グローバルファンドが支援する少なくとも半数の国で主要な医薬品を最低でも6カ月分は供給できる一方、6%の国が抗HIV薬、3%の国が結核治療薬、3%の国がマラリア治療薬の不足を報告しています。

(4)検査サービスへの影響

エイズや結核の検査サービスへの影響はない、もしくは少ないと報告した国は41%で、8月1日以降横ばいです。検査サービスへの影響が「非常に高い」と報告している国は7月1日以降2%で横ばい、「高い」と報告している国は5%で、先月の4%からわずかに増加しています。

図表はいずれもCOVID-19 Disruptionより転載。

 

グローバルファンドの資金ニーズ

9月22日に米国政府主催で開催された新型コロナ・サミットにおいて、ビデオ・スピーチを行ったグローバルファンドのピーター・サンズ事務局長は、次のように述べました。

「ワクチンは最も効果的な手法であるが、ワクチンだけで新型コロナとの闘いに勝つことはできない。検査、酸素、治療薬、そして医療従事者のための防護具の供給は必須である。それらワクチン以外のツールの資金供与において、グローバルファンドの支援は最大だ。
しかし、これまでに調達した資金は、9月末までに承認をし終え、底をつく状況だ。今後支援を続けるためには、更なる投資が必要である。国際社会が共闘することで、コロナに打ち勝つことができるのだ。」

Summit Participant Statement of the Global Fund for 2021 ‘Global COVID-19 Summit’ より一部抄訳)

 


*¹ ACT(アクト)アクセラレーターとは、新型コロナウイルス対策の新たな診断、治療、ワクチンの開発、生産、公平なアクセスを加速化させるための国際協働の仕組みのこと。ACTアクセラレーターの基本情報、進捗状況や課題などは、ぜひ『ACT-A WATCH 』をご覧ください。
*² 2021年9月29日為替レート 1USD=110.84円で算出
*³ コロナ対応メカニズムは、グローバルファンドが支援する低・中所得国が、新型コロナウイルス感染症に対応しながら、三大感染症との闘いや保健システム強化を継続するために時限的に設置された資金調達・配分メカニズム。
*⁴ 各国状況を厳密に評価することを目的とした調査ではなく、国内ステークホルダーの見解に基づく、未検証のデータ。