グローバルファンドは、スイス時間1月11日の午後、サンズ事務局長訪問中のパリにて、第6次増資(2020~2022年)の資金調達目標を示した投資計画書『Step Up the Fight – Investment Case Summary, Six Replenishment 2019』(要約版)を発表しました。これは、今年10月10日にフランスのリヨンで開催される第6次増資会合に向けて、各国から今後3年間のためのグローバルファンドへの拠出を呼びかけるための根拠となる資料です。
グローバルファンドおよび専門家やWHOなどの技術パートナーで構成される委員会の算定により、目標額は、少なくとも、前回第5次増資での調達額から15%増となる140億米ドルと発表されました。
本投資計画は、グローバルファンドが3年間で140億米ドル以上を各国での対策に投資し、低中所得国の国内資金が増加し、他の国際援助資金がこれまでと同レベルに維持されれば、以下を実現できるとしています(詳細は報告書を参照)。
1. エイズ・結核・マラリア流行を終息させるための、あるべき「軌道」に戻ることができる
- 2021年から2023年の間に、1,600万人の命を救い、2023年までに三大感染症全体の死亡率を2017年と比べて52%減少。
- 三大感染症の新たな感染を2億3,400万件回避。2023年までに三大感染症全体の感染率を2017年と比べて42%減少。
- 三大感染症による死者数を、2005年の410万人、2017年の250万人から2023年には130万人にまで減少。
2. SDG3とユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向けた進展を加速することができる
- 診断ツールやサーベイランスシステム、サプライチェーン管理、医療従事者の研修などの能力開発へ、年間約40億米ドルの直接投資をし、患者中心のケアモデルへの移行を加速することにより、保健システムを強化。
- サーベイランスや診断・緊急対応能力の強化により、強靭で持続可能な保健システムの構築を支援し、世界保健安全保障に対する大きな脅威である多剤耐性結核に直接立ち向かうことで、保健安全保障を強化。
- 誰一人取り残されない、より包括的な保健システムを構築するため、市民社会や三大感染症に影響を受けているコミュニティを含むパートナーと協働することで、人権・ジェンダーに関連したアクセス障壁など、健康に関する不平等の是正に取り組む。
- グローバルファンドの支援を受けている国々との間に結ぶ「共同資金調達」の誓約と保健財政に関する技術支援を通じ、三大感染症の流行終息と保健システムの強化に向けて460億米ドルの国内資金を引き出す。
- 投資利益率1:19を達成。投資された1米ドルごとに、19米ドルに相当する保健の進展と経済的利益が生み出され、SDGアジェンダ全体の達成にさらに貢献。
詳細は以下のグローバルファンドからの発表および投資計画をご覧ください。
投資計画(要約)『Step Up the Fight – Investment Case Summary, Six Replenishment 2019』英語概要|日本語概要
投資計画(フルレポート) (2月9日追記)
(注1)グローバルファンドの増資について
グローバルファンドは、 3年に一度、三大感染症対策に必要な資金額を算定し国際社会に呼びかけて資金を調達する。これを増資( replenishment) と呼び、そのプロセスは、各国が資金拠出を表明する「増資会合」とその数か月~1年前に開かれる「増資準備会合」の2会合から成る。
増資関連の2会合は通常ドナー国の回り持ちで開催され、 前回第5次増資準備会合は東京で、増資会合はカナダ・モントリオールで開催された。第6次増資に向けては、増資準備会合が今年2月にインド・デリーで、増資会合が10月にフランス・リヨンで開催される。
(注2)ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とは:
世界中のすべての人が生涯を通じて必要な時に適切な保健・医療サービスを負担可能な費用で受けられること。もっと知りたい方は「UHC デー」のサイトをご覧ください。