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グローバルファンド ピーター・サンズ事務局長来日記念レセプションにて「グローバルファンド日本委員会リーダーシップ・アワード贈呈式」を開催

2025年3月6日
グローバルファンド ピーター・サンズ事務局長来日記念レセプションにて「グローバルファンド日本委員会リーダーシップ・アワード贈呈式」を開催

202534日、日本国際交流センター/グローバルファンド日本委員会は、グローバルファンドのピーター・サンズ事務局長の2年ぶりの来日を記念してレセプションを開催しました。この中で、世界の三大感染症(エイズ・結核・マラリア)対策の収束のために貢献された日本の各界の方を顕彰する「グローバルファンド日本委員会リーダーシップ・アワード」の贈呈式を行いました。

冷たい雪まじりの雨の中、政界、市民社会、経済界、学界など各界から100名を超える方々にお集まりいただきました。

 

レセプションの中で、グローバルファンドのピーター・サンズ事務局長は、グローバルヘルスにおける日本のこれまでのリーダーシップに謝意を表するとともに、感染症との闘いの真っ只中にある国々にとって、グローバルファンドのパートナーシップが果たす役割がこれまで以上に重要であること保健システムの強化とUHCの達成に向けて、日本とより一層連携強化を図りたいと力強く語りました。

 

グローバルファンド ピーター・サンズ事務局長


 

グローバルファンド日本委員会 リーダーシップ・アワード贈呈式

レセプションの機会に、世界のエイズ・結核・マラリアの三大感染症対策の促進および日本のグローバルファンドへの支援において、顕著な貢献をされた5個人・団体を表彰しました。この「リーダーシップ・アワード」と銘打った賞は、グローバルファンドならびに日本委員会との接点の観点から選出しました。グローバルファンド日本委員会 アドバイザリー・ボード メンバーおよび議員タスクフォースメンバーより、各部門の受賞者の方へトロフィーを贈呈しました。

 


 

受賞者の方々(敬称略)

 

政治部門:岸田  文雄 前内閣総理大臣

授賞理由:日本の総理大臣として初めてグローバルファンド増資会合に参加、第7次増資への日本の拠出を誓約、他のドナー国にも大きな影響を与えた。

 

学術・医療部門: 田沼  順子  国際医療福祉大学医学部感染症学講座教授

授賞理由:国内でHIVの診療と研究に従事する一方、国際共同プロジェクトや政策提言にも従事。国内の感染症対策と国際協力は地続きの課題であることを示し、人々の連帯を訴え続けてきた。

 

報道部門:宮地 ゆう 朝日新聞編集委員

授賞理由:近年日本では話題に上ることが少ないエイズ問題に焦点を当て、ドイツや南アフリカでは研究者、NGO、当事者の方々を取材。コミュニティの現場から、また科学の進歩、国際社会の動きを総合した俯瞰的な記事を執筆。

 

企業部門:武田薬品工業株式会社

授賞理由:グローバルファンドを通じ、アフリカの感染症対策に貢献。アフリカでの結核、マラリア、エイズ対策、感染症と母子保健のサービスを統合するプロジェクトを支援した。15年間の継続支援は、グローバルファンドの企業ドナーとしては最長。

 

市民社会部門:故 樽井 正義 氏 特定非営利活動法人AIDS & Society研究会議副代表、慶應義塾大学名誉教授

授賞理由:生命倫理学の視点から長年にわたりエイズ対策に従事。特に感染症当事者の人権擁護と感染症対策の担い手としての当事者参画を推進。


それぞれの分野で尽力された受賞者の方々が発する言葉に参加者お一人おひとりが聞き入られていました。

この贈呈式を通して、日本の政産官学民がこれまで果たしてきた国際貢献に改めて敬意を表するとともに、不安定な世界情勢が続く中、日本が今こそリーダーシップを発揮し、地球規模の課題である感染症の収束に向けて国際協調を主導していくとの思いを新たにしました。


 

ここに受賞者の方々のスピーチの一部をご紹介します。

 

政治部門:岸田  文雄 前内閣総理大臣 受賞スピーチ

「日本は ”人間の安全保障”の実現を目指すことを基本方針として、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成を含む国際保健の課題に取り組んでいます。その成果の一つが、日本が議長国を務めた2000年のG8九州・沖縄サミットを契機として設立されたグローバルファンドです。以来、我が国は累積額世界第5位の主要ドナーとして財政的貢献のみならず、知識・技術面でも大きな役割を果たしてきました。

グローバルファンドがエイズ、結核、マラリアの三大感染症対策で着実に成果をあげていることに大変喜ばしく思います。近年投資額が拡大している保健システム強化は、社会に大きな影響を与えうる将来のパンデミックの備えにもなり、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成にも貢献するものです。

国際保健の分野において、日本とグローバルファンドが一層緊密に連携し、すべての人々が健康で安全に暮らせる、より公平な未来を築くことが重要です。この機会に、その意義を改めて強調したいと思います」

左:プレゼンターの狩野功 日本国際交流センター理事長

 

学術・医療部門: 田沼  順子  国際医療福祉大学医学部感染症学講座教授 受賞スピーチ

「エイズ対策には包括的な視点が不可欠です。私は25年間、診療現場で患者さん一人ひとりの声を聞く一方で、国際共同プロジェクトや政策提言にも携わってきました。そして何より患者と市民の医療への参画推進に積極的に携わってきました。診察室での個別の悩みは、より広い医療政策や対策と密接に関連しています。人々の連帯なくして、患者の治療もパンデミックの終結も実現できません。

しかし、連帯を阻む壁があるのも事実です。経済格差、政治的緊張、仲間うちのやり取りでも新しい取り組みへの抵抗、批判が相互理解、支援や協力に優先されることも少なくありません。その結果、多くのプログラムが分断や中止に追い込まれています。歩みを止めないよう対話を続ける必要があります。

私たちはすでに、パンデミックを終結させるための技術を持っています。あとは、それを実現するための「連帯の力」をさらに強めることが求められています。グローバルファンドの精神に学びながら、一市民として今後もこの課題に取り組んでまいります。共に力を合わせ、より良い未来を築いていきましょう。誰も取り残さないように」

 

左:プレゼンターの高木真理 参議院議員

 

報道部門:宮地 ゆう  朝日新聞編集委員  受賞スピーチ

「取材で、先進的な創薬の歴史や、グローバルファンドの創設によって世界的な官民の協力体制が作られたこと、当事者を中心に社会、政治、文化にわたる大きな運動があったことを改めて学びました。印象的だったのは、昨年ミュンヘンでの国際エイズ学会で、エイズの当事者や医療関係者がともに声を上げる場面を何度も見たことでした。エイズは非常に特別なコミュニティーで、こんな学会は世界中どこにもないと、参加者に教えられたのが印象的でした。こうした活動の蓄積が、気候変動からMetooまで、さまざまな市民運動の一つの礎になっていることも教えられました。特にいまの時代に、エイズは社会的少数者とどう向き合うかというその社会の成熟度がわかるバロメーターなのだと感じています」

 

左:プレゼンターの國井 修 GHIT Fund CEO

 

企業部門:武田薬品工業株式会社 
受賞者代表スピーチ:武田薬品工業株式会社チーフ グローバル コーポレート アフェアーズ&サステナビリティ オフィサー 大薮 貴子 氏

グローバルファンドの最も長い民間企業パートナーとして、武田薬品工業はタンザニアでのマラリア予防、ケニアでの結核治療の改善、そしてナイジェリアでのエイズ対策。グローバルファンドとともに三大感染症の対策に尽力し、これまで約100万人の人々を支援してきました。2019年には、感染症対策に産前・産後健診を統合したサービスを提供、その結果、タンザニア、ケニア、そしてナイジェリアで母子保健サービスの質が向上、妊産婦と新生児の死亡率低下という成果を出すことができました。引き続き、国際社会と協力しながら、保健システムの強化とユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現を支援してまいります」

 

左:プレゼンターの鶴岡 公二 元駐英国日本大使

 

市民社会部門:故 樽井 正義 氏 
特定非営利活動法人AIDS & Society研究会議副代表、慶應義塾大学名誉教授

グローバルファンド20周年記念ドキュメンタリー「何事も夢から始まる」*¹にご出演いただいた時の故 樽井正義氏の発言:

「2000年から2002年はエイズ対策の大きな転換点であった。新しい公衆衛生の方法はなんなのか、感染している人、感染のリスクに直面している人、こういう人たちと一緒に対策を進めていこうと、つまり感染症対策の対象ではなく対策の担い手なんだと、エイズへの取組みが変わってきた。その変化を端的に表しているのが「グローバルファンド」の設立だったんです

「何事も夢から始まる」特別編
受賞者:樽井 由紀子 様(ご夫人)スピーチ

研究者として、生命倫理学が社会に貢献する道を模索していた正義にとって、グローバルファンドとの関わりは、まさに研究を現実の課題解決につなげる重要な機会となったのだと思います。そして、それを支えてくださったのは、ここにいらっしゃる皆様をはじめ、同じ志を持つ多くの方々でした。正義の活動を振り返り、皆様にその意義を認識していただけることを、大変光栄に思います。正義が情熱を持って取り組めたのは、素晴らしい仲間との出会いがあったからこそです」

 

左:プレゼンターのアフリカ日本協議会共同代表 稲場 雅紀 氏

 

「何事も夢から始まる」特別編
新型コロナで身近になった感染症。世界には多く感染症がありますが、なかでもエイズ、結核、マラリアは長年にわたり世界で多くの命を奪ってきました。『何事も夢から始まる』は、3つの感染症の終息という夢をもって立ち上がり、命のために闘う人びとが主役。特別編は、ベトナム、エルサルバドルのストーリーを軸に、感染症との闘いの歴史を交え、日本の専門家が世界の感染症対策の「今」と「未来」を語ります。


 

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