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議員タスクフォース 岸田総理大臣に要望書を提出

2022年7月21日
議員タスクフォース 岸田総理大臣に要望書を提出

2022年7月21日、グローバルファンド日本委員会の議員タスクフォース共同代表を務める逢沢一郎衆議院議員ほか与党国会議員が岸田総理と面談し、8月末のアフリカ開発会議(TICAD8)において日本政府としてグローバルファンド7次増資に対する応分の拠出誓約を発表するよう以下を要請し、要望書を手交いたしました。


要望書PDF「グローバルファンド第7次増資に対する日本の拠出に関する要望書

2022年7月21日

グローバルファンド日本委員会
国会議員タスクフォース

グローバルファンド第7次増資に対する日本の拠出に関する要望書

G8九州・沖縄サミットの成果として設立された「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」(略称グローバルファンド)は、本年1月に創設20年を迎えた。当初は不可能と思われていた開発途上国(特にアフリカ)における三大感染症の治療・予防は、グローバルファンドの支援および開発途上国自身の努力により大きく進展し、過去20年で三大感染症による年間死亡数はおよそ半減し240万人となった。また新型コロナウイルス感染症においても、グローバルファンドは、検査と治療薬、防護具などワクチン以外の医療ツールの調達・供給で最大の資金源となってきた。これらは、2000年当時、感染症を「人間の安全保障」上の脅威ととらえ、G8議長国として基金設立に向けた議論を主導した日本が誇るべき成果であり、コロナ後を見据えた今日、その意義は益々増している。

現在、グローバルファンドは二つの点で重要な局面を迎えている。第1は、新型コロナウイルス感染症の負の影響からの復旧である。2年以上にわたる新型コロナの流行で三大感染症の予防・検査や治療が停滞し、これまで毎年順調に減少してきた結核やマラリアによる死亡数が、2020年は初めて前年を上回った。早急に2030年のSDGs達成に向けた軌道に戻す必要がある。

第2に、三大感染症にとどまらず、より広い保健医療制度の整備でグローバルファンドの役割が増している。コロナ禍を経て、国際社会の喫緊の課題は、今後二度とパンデミックを起こさないための予防や、危機が起きた時の備えを盤石にするための保健システム強化である。グローバルファンドは、保健システム強化への無償資金協力では世界最大の支援機関であり、グローバル健康安全保障における期待に応えるべく、保健システム強化への支援の増強を計画している。

本年、グローバルファンドは第7次増資を実施する。2月にアフリカ5カ国の大統領主催で増資準備会合が開催され、9月には米国のバイデン大統領主催で増資会合が米国ニューヨークにて国連総会にあわせて開催される。コロナの影響による後退を挽回し、将来のパンデミックを予防する保健システムを強化するために、前回の第6次増資を30%上回る180億ドルの資金調達が目標である。増資議長国の米国政府は既に約30%増の60億ドルを誓約する意向を予算教書に示し、現在連邦議会で審議中と承知している。5月23日の日米首脳会談の共同声明に、「日米両国は、グローバルファンドを支援するためのコミットメントについて再確認した」と盛り込まれたとおり、グローバルファンドは地球規模課題での日米協力の具体策の一つである。また、2023年、日本はG7の議長国として、コロナ後の新たな時代における、より強靭なユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進を主導しようとしており、こうしたUHCの達成、強靭な保健システムの強化にとって、グローバルファンドは非常に重要な役割を担う組織である。世界でUHC推進をリードする我が国による資金的貢献と専門的知見が期待されている。

日本のグローバルファンドへの拠出は、開発途上国の人々の命を救い保健システムを強化することでその国の経済・社会の安定と発展に貢献し、また、国境を超える感染症の脅威から日本を守ることにもつながる。三疾病の中でも特に結核は人の移動と関連が深く、世界、特にアジアの結核が減らないと日本における結核は減らないことを考慮する必要がある。さらに産業振興の観点からは、増資が成功し、グローバルファンドによる調達市場規模(現在年間約20億ドル)が維持・拡大されることは、日本の技術や製品が世界で活用される上で重要である。またこうした市場に参入することにより企業が平時から感染症関連の技術革新を継続することは、「感染症に強い日本」を作ることにもつながる。

以上を踏まえ、超党派の有志国会議員による当タスクフォースは、グローバルファンドへの拠出は、我が国の健康安全保障上、経済上、また、外交上の意義が極めて高いと認識し、以下を政府に要望する。

1. 第8回アフリカ開発会議(TICAD8)において、グローバルファンド第7次増資に対し、前回増資の誓約額から30%増の11億ドルの拠出を日本として表明すること。グローバルファンドの支援の7割はアフリカ向けであることや日米連携の重要性に鑑みれば、増資会合に先駆け8月のTICAD8において発表することが我が国にとって最も好機である。

2.拠出にあたっては、省庁の枠を超え政府一体として検討すること。特に、グローバルファンド理事会の日本政府代表理事を務める外務省の予算に加え、理事代理を務める厚生労働省の予算確保を求める。

3.グローバルファンドの意思決定や組織運営、国レベルでの事業の実施、連携、調達、評価において、日本の官産学民の関係者がより積極的に関わることができるよう、政府一体となり一層の支援を行うこと。

以上


追記

7月21日 岸田文雄総理大臣に議員タスクフォースの要望書を提出

 

7月28日 林芳正外務大臣に議員タスクフォースの要望書を提出

 

8月8日 後藤 茂之厚生労働大臣に議員タスクフォースの要望書を提出

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