12月9日、グローバルファンドを支援する日・米・欧のグローバルファンド委員会(Friends of the Global Fund)は共同で、低・中所得国の保健分野で活動する市民社会団体(Community Based Organization、以下CSO)を招いたウェビナー「The Global Fund in the COVID-19 Era: Views from Local Civil Society(コロナ時代のグローバルファンド:現地の市民社会の視点)」を開催しました。スピーカーセッションには、カメルーン、ガーナ、マラウイ、カンボジアの4カ国から現場をよく知るパネリストたちが参加し、新型コロナウイルス感染症の流行が各国でのエイズ・結核・マラリア対策にどのような影響を与えたのか、その影響を抑えるためにどのような対応がなされたのかを話しました。
新型コロナの三大感染症対策への影響
新型コロナによる悪影響の例として、結核対策に遅れが出て感染者数が増えたこと(カンボジア)、経済が停滞し支援が送れる中で若い女性や女子がセックスワークに従事し若年層の妊娠が増えたこと(マラウイ)、HIVの治療薬の供給が滞ったこと(ガーナ)などの事例が挙げられました。一方で、これまでにグローバルファンドが投資し、育成してきたコミュニティ・ヘルス・ワーカーらが戸別訪問などの役割を担って三大感染症対策を継続させたこと(カメルーン)、グローバルファンドの新型コロナ対応のための緊急資金によってマスクや手袋などの個人用防護具や治療薬などを確保できたこと(マラウイ)など、これまでのグローバルファンドによる三大感染症対策の蓄積が対策に直接的に役立ったことも語られました。
感染症対策におけるCSOの役割
新型コロナへの対応を通じて、多様なセクターの参画が感染症対策の成功のために重要であることも再確認され、特にCSOはお互いのネットワークを生かして対応したこと、これまでに関わりがなかったセクターとも協力関係を築く機会ともなったこと、またリモート対応が求められる中で遠隔地までカバーできるCSOが大きな役割を果たしたこともわかりました。
グローバルファンドの資金を得るために各国が設置している「国別調整メカニズム(CCM)」は、新型コロナ対応においてもCSOの声を反映し、多様なセクターが互いに調整・協働して対応するために有効に働いたということがわかりました。今後さらにこの取り組みを強化することが感染症対策、さらには今後起こりうるパンデミックへの準備としても重要です。
本ウェビナーの録画は以下より視聴が可能です。ぜひご覧ください。
ウェビナー概要
名称 | The Global Fund in the COVID-19 Era: Views from Local Civil Society コロナ時代のグローバルファンド:現地の市民社会の視点 |
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日時 | 2021年12月 9日 (木) 23:00〜24:00(米国東部標準時間 午前 9 :00 ~ 10:00) |
場所 | オンライン/Zoom |
言語 | 言語:英語 (仏、独、伊語の同時通訳有り。今回は日本語通訳ございません) |
スピーカー | オリビア・ンゴウ(インパクト・サンテ・アフリークおよび マラリア 根絶のための市民社会 、カメルーン) Olivia Ngou, Impact Santé Afrique and Civil Society for Malaria Elimination (Cameroon; Moderator)セシリア・セノオ(ホープ・フォー・フューチャー・ジェネレーション、ガーナ) Cecilia Senoo, Hope for Future Generations (Ghana)グレース・ングルベ (ユース・ヘルスコネクト360、マラウイ) Grace Ngulube, Youth-Healthconncet360 (Malawi)チョブ・ソック・チャムルーン(クメールHIV/エイズ NGOアライアンス(KHANA)、カンボジア)Choub Sok Chamreun, KHANA (Cambodia)セシリア・セノオ(ホープ・フォー・フューチャー・ジェネレーション、ガーナ) Cecilia Senoo, Hope for Future Generations (Ghana)Emina Rye-Florentz, Executive Director, Fund for the Global FundMark P. Lagon, Chief Policy Officer, Friends of the Global Fight |
フライヤーはこちらからダウンロードください。Webinar_GF in the COVID19 Era
[ご参考]
- グローバルファンドの最新の成果 2021年9月発表
- グローバルファンドの新型コロナウイルス感染症対策支援の最新状況「新型コロナアップデート」(2021年9月末)(グローバルファンドはACTアクアセラレーターの主要機関の一つとして、ワクチン以外のすべての部門で低・中所得国のコロナ対策支援に関わっています。)
- Friends of the Global Fund Joint Webinar Series Commences With “The Global Fund in the COVID-19 Era: Views from Local Civil Society” (December 14, 2021)
- ウェビナー「コロナ時代のグローバルファンド:市民社会の視点」(12/9)(FGFJウェブトピックス記事)