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グローバルファンド 2021年の成果報告書をリリース: 新型コロナによる影響は甚大、しかし19年間の三大感染症対策支援が新型コロナ対策の基盤に

2021年9月8日
グローバルファンド 2021年の成果報告書をリリース: 新型コロナによる影響は甚大、しかし19年間の三大感染症対策支援が新型コロナ対策の基盤に

9月8日、グローバルファンドは2021年の成果報告書を公表しました。2020年の1年間では、新型コロナウイルス感染症(以下新型コロナ)が、エイズ、結核、マラリア対策の予防や治療に大きな影響を与えたことが明らかになりました。グローバルファンド設立以来、検査や治療の件数などの主要指標上の実績は、毎年順調に伸びてきましたが、2020年は、初めて前年の実績を下回りました。これは、2021年末までに三大感染症による死亡数が徐々に増えていく可能性があることを意味しています。

他方、これまでのグローバルファンドの支援による、検査システムやサーベイランス、コミュニティの保健人材などが、低・中所得国の感染症対策全般の基盤を作り、各国が迅速に新型コロナと闘う上で大きく貢献したことも明らかになりました。

長期的な実績を見ると、グローバルファンドの支援対象国では、エイズ、結核、マラリアによる死亡者数が、2004年の流行のピーク時からおよそ半分まで減少しました。これは、国際社会のコミットメントと低・中所得国の政府やコミュニティのリーダーシップがあれば、最も恐ろしい感染症でも退けられることを、コロナ危機下にある私たちに示しています。

エイズ、結核、マラリア対策への新型コロナの長期的かつ壊滅的な影響を防ぐとともに、新型コロナ自体を終息させるには、4つの疾患に同時に取り組むための支援を拡大し、イノベーションと適応策を拡大しなければなりません。

報告書の主なポイント

三大感染症の死亡者数は2004年のピーク時から46%:近年、エイズ、結核、マラリアとの闘いが大きく進展し、2002年の設立から2020年末までの19年間に4400万人の命を救うことができた。特に、グローバルファンドが支援している世界の約100カ国では、エイズ、結核、マラリアによる死亡者数が、2004年の流行のピーク時から46%減少 (*¹)。

2020年、新型コロナの影響が顕著:新型コロナの影響により、2020年のエイズ、結核、マラリアの検査・治療数などの主要指標の成果が、前年度比で大幅に減少した(詳細は下記参照)。前年度を下回るのは、グローバルファンド設立以来、初めての現象。

グローバルファンドの新型コロナ対策支援:グローバルファンドはこのパンデミックに対応し、かつ三大感染症への連鎖反応を防ぐため、2020年3月初頭に迅速かつ大規模な支援を開始。2021年8月までの間に、約100カ国に33億米ドル(約3624億円)の追加資金を承認している。迅速で確固たる対応がなければ、上記指標の成果はさらに悪い結果になっていたと考えられる。

これまでの投資が新型コロナ対策の基盤に:グローバルファンドが支援する低・中所得国は、エイズ、結核、マラリアとの闘いにおける数十年の経験が基盤となり、新型コロナに迅速に対応することができた。具体的には、三大感染症対策のためにつくられた検査ラボ、疾病サーベイランス、コミュニティのネットワーク、研修を受けたヘルスワーカー、サプライチェーンなどは、コロナ対策で十分に活用することができた。

新型コロナによって促されたイノベーション:新型コロナによって、イノベーションが進んだこともある。例えば、複数の感染症の共同検査、複数月にまたがる薬の処方、予防や治療支援のためのデジタルツールなど、新型コロナによるロックダウンや社会的距離政策の中で、各国が工夫して導入した手法である。三大感染症の終息に向けた軌道に戻すために、これらは、今後も積極的に活用すべきである。

1年間の成果

2020年の1年間、グローバルファンドが資金を供与した国々(低・中所得国約100カ国)で以下の成果が達成されました。

エイズ

  • 2020年時点で、抗レトロウイルス治療を受けたHIV陽性者の数:2190万人(新型コロナにかかわらず前年比8.8%増
  • HIV予防サービスを受けた人数:870万人(新型コロナにより前年比11%減
  • HIV検査の件数:1億400万件(新型コロナにより前年比22%減

結核

  • 結核の検査と治療を受けた人数:470万人(新型コロナにより前年比18%(約100万人)減
  • 薬剤耐性結核および超多剤耐性結核の検査と治療を受けた人数:10万5000人(新型コロナにより前年比でそれぞれ19%、37%減
  • 結核患者と接触があり、予防療法を受けた子どもの数:19万4000人(新型コロナにかかわらず前年比13%増

マラリア

  • マラリア検査数:2億5900万件(前年比4.3%減
  • 配布されたマラリア防除用の蚊帳の数:1億8800万張(新型コロナにかかわらず17%増
  • マラリア予防治療を受けた妊婦の数:1150万人(前年比1%増

 

2021年のグローバルファンドの成果報告書および要旨は以下よりご覧いただけます。

フルレポート 英語
要約 英語日本語
ニュースリリース  Global Fund Results Report Reveals COVID-19 Devastating Impact on HIV, TB and Malaria Programs (September 8, 2021)
和文ニュースリリース 2021 年グローバルファンド成果報告書-新型コロナがエイズ、結核、マラリア対策に大打撃


*¹ HIVは2020年末時点のデータ、マラリアと結核は2019年末時点のデータ。

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