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議員タスクフォース・アドバイザリーボード合同会合を開催

2019年9月19日
議員タスクフォース・アドバイザリーボード合同会合を開催

第7回アフリカ開発会議(TICAD7)初日の8月28日(水)にグローバルファンド日本委員会 第28回議員タスクフォース・第23回アドバイザリーボード合同会合を開催しました。

グローバルファンドからは今年5月に理事会議長に就任したドナルド・カベルカ氏、ピーター・サンズ事務局長、國井修戦略・投資・効果局長をはじめ8名の職員が出席し、議員タスクフォース、アドバイザリーボードメンバーと合わせて30名を超える方々が出席されました。

代表幹事の逢沢一郎議員

グローバルファンド日本委員会代表幹事の逢沢一郎議員は、開会の挨拶の中で、同日から開催されたTICAD7において、グローバルファンドのこれまでの実績、そして感染症との闘いが如何に大事な局面を迎えているか、将来の展望も含めてしっかりと国際社会に対して発信していかなければならないことを強調し、更に、8月27日の日本経済新聞朝刊に掲載されたグローバルファンドの公共広告を含む感染症特集について触れ、このような多面的で説得力のある媒体を一つの有力なツールとして十分に使いこなしていくべきと呼びかけました。

続いて、山崎外務審議官は今年6月に大阪で開催されたG20サミット直前に、日本政府が三大感染症から100万人の命を救う貢献をするためにグローバルファンドへの第6次増資、8億4000万ドルの拠出誓約を行ったことを挙げ、日本のこの貢献について、G20や8月にフランスで行われたG7にて各国から評価を受けたと話しました。続けて、TICAD7にはグローバルファンドに拠出した資金がまさに使われていく現場の国の代表が集う重要な機会であるため、その中で日本政府としてユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の重要性と併せてグローバルファンドの取り組みについても広めていきたいと挨拶されました。

山崎外務審議官
GF2
ピーター・サンズ事務局長

ピーター・サンズ事務局長は、日本は単に資金面での貢献だけではなく、グローバルファンド設立当初からずっと国際的なリーダーシップを発揮し続けていることを特に強調し、日本が早い時期に率先して第6次増資への拠出を表明したことへの感謝を述べました。そして、SDGsの目標に到達するには三大感染症との闘いをさらに強化していく必要があることを強調しました。また、グローバルファンドは単に感染症対策を行っているだけではなく、UHC拡充に向けても努力を加速させていることにも言及し、UHC達成は三大感染症との闘いと対立する要素ではなく、むしろ補完的な関係にあると述べ、保健システムなくしては感染症との闘いで結果を出すことは難しいが、感染症対策を進めなければ保健システム自体をも圧倒してしまうと説明しました。三大感染症の終息と強靭で持続可能な保健システムの整備・拡充、いずれの目標達成にも、中低所得国自身の国内資金に加えてグローバルファンドが調達する資金が必要であり、増資の目標額を達成し効果的に活用する必要があることを強調しました。(ピーター・サンズ事務局長のプレゼンテーション資料

グローバルファンド日本委員会の会合に初出席したドナルド・カベルカ理事会議長は、グローバルファンドの生みの親であり、アフリカとの協力関係を構築するための努力してきた日本に対して謝辞を述べました。また、現在約800の日本企業がアフリカで活躍していることに触れ、これはTICADによる成果であることを強調し、またTICAD開始当初は裕福な国が貧しい国々を助ける、という図式だったが今では共に大きな課題に取り組む関係へ移行していると述べ、初回を除き全てのTICADに参加してきたカベルカ氏からみた日本とアフリカの関係性の遷移について言及しました。続けて、アフリカ各国から数多くのリーダーが集っているTICADという場において各国の保健医療のための国内資金の更なる増加を呼びかけていきたいと述べました。

Dr.Kaberuka
ドナルド・カベルカ理事会議長
ディスカッションの様子

質疑応答・ディスカッションパートにおいては、1時間を超える活発な議論が行われました。

グローバルファンドへの1ドルの投資が19ドルに相当する保健の進展と経済的利益を生み出すなど、感染症対策のインパクトや投資効果の測定・算出方法に関する議員からの質問に対し、ピーター・サンズ事務局長と國井氏から、グローバルファンドで適用している効果算出や分析方法について説明がありました。また他の議員は、投資効果が何パーセントかということよりも、一人の命を救うことの大切さ、ということがもっと基本にあるべきではないかと述べ、投資効果の数値に注目し過ぎることについて警鐘を鳴らしました。

これまでのペースで闘いを続ければ三大感染症の終息を達成、そして根絶することができるのかとの質問に対しては、ピーター・サンズ事務局長より、終息を達成するにはこのままでのペースでは不十分であり、更なる闘いの強化が必要であると回答がありました。加えて、感染症との闘いにおいて、「根絶」は科学的に非常に難しいと指摘がありました。この点に関し、日本のアドバイザリーボードの委員を務めるエイズ、結核、マラリアそれぞれの専門家が、各感染症の特徴や、対策がどこまで進んでいるのか、何をもって流行の終息ととらえるのかを説明し、感染症との闘いの手を緩めてはいけないと強調しました。

途上国等で感染症対策が停滞した場合、日本をはじめ保健制度が進んだ国で生じる具体的なリスクとはなにか、という議員の質問に対してピーター・サンズ事務局長は、感染症との闘いは、勝つか負けるかのどちらかしかなくその中間はないと指摘し、現状、マラリアは高い感染リスクに晒された国々で感染者数が増えていること、結核は多剤耐性結核がどこにでも発生する可能性があることから世界的な健康安全保障の問題となっておりコントロールが非常に難しいこと、HIVに関しては、新たな感染リスクが生じる可能性と感染者が負担する高額な治療費について言及し、もし今投資しなければ次の世代が負担する費用がより高額になっていくと話しました。更に、感染症の専門家は、これらの感染症が世界に存在する限り、日本にも脅威がやってくるリスクは続く、と説明しました。

国際保健の目標を達成していく上で行政側が市民社会とどのようにパートナーシップ構築し、どう支援していくのか、また市民社会に不足していることは何かという議員からの質問に対して國井氏は、現場の実施団体としての市民社会が担う役割は特に重要であるため、各国の調整機関の中には必ず市民社会を入れて事業や施策のプランニングから実施まで共に行っていくことが非常に重要であると回答し、加えて、市民社会のキャパシティービルディングが課題であると説明しました。また市民社会組織の代表である委員からは、TICAD7は市民社会にとってパートナーシップの構築のためのハブのような役割を果たしていると説明し、このような機会を有効活用し市民社会と行政がパートナーシップ構築・強化を行うことが重要と述べました。

閉会の挨拶の中で代表幹事の古川元久議員は、カベルカ理事会議長、サンズ事務局長、國井氏を迎え、大変有意義な意見交換ができたと述べました。また、インバウンドの訪日客が増えて海外との交流の機会も増加している他方で、日本が感染症の脅威に晒され、そのリスクもますます高まっているという意識を一般社会、特に若い世代にどう伝えていくかが重要と強調し、グローバルファンド日本委員会として共に考えていきたいと総括しました。

代表幹事の古川元久議員
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