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結核とエイズの統合治療が普及し始めたミャンマー

2015年3月24日
結核とエイズの統合治療が普及し始めたミャンマー
世界各国で、グローバルファンドの支援はどのように活かされているのでしょうか。FGFJでは、グローバルファンドのウェブサイトに掲載中の写真記事Photo of the Weekを許諾を得て転載し、写真とキャプションの日本語訳にオリジナルの解説を加えてご紹介しています。

TB patient in Myanmar

胸のレントゲンを撮るために、NGOのユニオンが運営する結核クリニックを初めて訪れた時、マ・イェイェは、歩くのもやっとの状態だった。診断の結果、彼女は結核のほか、HIVにも感染していることが分かった。今でも娘の助けが必要ではあるが、治療の結果、結核の症状はよくなり、エイズ治療の効果も表れてきた。

グローバルファンドは、ミャンマー政府やNGOのユニオンなどが実施している結核患者の早期発見プログラムを支援している。近年、政府と民間医療機関の連携による結核とエイズの統合治療が徐々に普及し、今回、マ・イェイェが訪れたユニオン・クリニックにも、午前中にマンダレー公立総合病院から医師がやってきて、地方に住む患者たちに診察・治療を行っている。

Copyright: The Global Fund / John Rae
Source: The Global Fund, Photo of the Week 2015.Feb.09
http://www.theglobalfund.org/en/blog/2015-02-09_Patients_Benefitting_from_Public_Private_Partnership_in_Myanmar/


[解説]

myanmar map3月24日は世界結核デーです。

2013年には900万人が新たに発病し、150万人が命を落とした結核。世界保健機関(WHO)は、記事でご紹介しているミャンマーを含む22カ国を、特に結核の罹患率が高い「結核高まん延国」と位置づけています。この22カ国が、世界中で一年間に新たに結核にかかる人の約80%を占めています。

ここに登場するマ・イェイェさんは結核とHIVに重複感染しています。HIV感染によって免疫の働きが低下すると、何十倍も結核を発病しやすくなり、結核とエイズはお互いの病気の進行を早めてしまいます。HIVに感染した状態での結核の治療は難しいため、結核はHIV感染者の主な死因となっています(HIV感染者の死因の4分の1は結核)。

ミャンマーでの課題と取組み

さらに深刻なのは、従来の薬が効かない「多剤耐性結核」が広がっていることです。「多剤耐性結核の高まん延国」にも指定されているミャンマーは、東南アジアで最も多剤耐性結核が流行している国です。

こうしたミャンマーでも、グローバルファンドの支援で少しずつ前進を見せています。患者への負担が大きく、また治療期間も長いために難しいとされる多剤耐性結核の治療で、治療の成功率が世界平均(50%未満)を上回り70%以上という目標を達成しました。NGOをはじめとする民間の医療機関と、政府や公立病院・検査センターなどが協力して、結核とエイズの統合治療を進めていることもまた、患者の治療改善につながっています。
参考:Global tuberculosis report 2014

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