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HIV感染に脆弱な人々への支援

2015年2月13日
HIV感染に脆弱な人々への支援
世界各国で、グローバルファンドの支援はどのように活かされているのでしょうか。FGFJでは、グローバルファンドのウェブサイトに掲載中の写真記事Photo of the Weekを許諾を得て転載し、写真とキャプションの日本語訳にオリジナルの解説を加えてご紹介しています。

India transgender「私、20年もここにいるのよ。」
インドはバンガロールのハンマーム(買売春が行われる浴場)で働くトランスジェンダー*の彼女は言う。インドには、100万人を超えるトランスジェンダーの女性がいるとされ、そのほとんどは家族からも社会からも避けられている。生きるためには、彼女たちの多くは、物乞いや性産業といった違法行為をせざるを得ない。そして、成人一般のHIV感染率が0.36%であるのに対し、トランスジェンダーの人々の間の感染率は8%だ。

幸いにも、このハンマームでは、地元NGOのインドHIV/エイズ同盟とシビルソサエティの組合が、グローバルファンドの資金を使ってエイズ予防プログラムを行っている。男性と性行為をする男性、トランスジェンダーおよびヒジュラー**の人々に、コンドームを無料で配布し、カウンセリングを行っている。

国連は1950年に、12月10日を世界人権デーと定めた。全ての人々と全ての国とが達成すべき共通の基準である「世界人権宣言」についての理解を広めるためだ。2014年のスローガンは、”人権365”。これには、毎日が人権デーであるという考えが込められている。人権デーは、人権宣言における根本的な考え方―私たちの誰もが、どんなときも、どこにいても、あらゆる種類の人権を持つ権利があり、人権は等しく私たち個々人のものであり、グローバル社会において同じ理想と価値観で人々を繋いでいる―を記念する日でもある。

Copyright: © Gitika Saksena for International HIV/AIDS Alliance.
Source: The Global Fund, Photo of the Week 2014.Dec.10
http://www.theglobalfund.org/en/blog/2014-12-10_Human_Rights_Day_2014/

*   トランスジェンダー:生まれたときに割り当てられた性別にとらわれない性別のあり方を持つ人
**  ヒジュラー:主に南アジアにおいて、「第3の性」とも呼ばれる女性でも男性でもない人々


[解説]

Map-India1948年12月10日に採択された世界人権宣言では、様々な権利が謳われています。健康への権利はその一つであり、自分と家族の健康に必要な保健医療サービスを受ける権利も含まれます。しかし、貧しさや社会的・文化的な背景によって、保健医療サービスをなかなか受けられない人が世界にはたくさんいます。グローバルファンドが支援の対象としている3つの病気も、貧しい人々や社会的に弱い立場におかれている人々が、最も感染のリスクが高く、予防や治療の手段があるにもかかわらずそのサービスが届きにくいという現状があります。

性的少数者(セクシャルマイノリティー)とよばれる、男性と性行為をする男性、トランスジェンダー、ヒジュラーなどは、差別や偏見を受けやすいことから、社会的に弱い立場におかれている人々と言えるでしょう。

今回の写真記事の舞台でもあるインドでは、昨年、最高裁が女性でも男性でもない「第3の性」を合法的に認める判決を下しています。また、トランスジェンダーの女性が与党のライバル候補者を下して市長に当選し、ニュースにもなりました。しかし、写真の女性たちが語るように、トランスジェンダーを含む性的少数者の人々は家族や社会に受け入れらないことが多く、そのため、予防や治療のサービスが届きにくくなってしまうのです。記事でご紹介しているHIV感染予防プログラムでは、このような人々をターゲットとして、コンドームの無料配布やカウンセリングといった予防活動を行っています。こうした人々に焦点を絞ってサービスを届けることで、社会全体にHIV感染が広がることを防いでいます。

健康はすべての人の権利――。2015年、【毎日が人権デー】は今日も明日も続きます。


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