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イサンゴ・アンサンブルによるラ・ボエーム公演 とレセプション

2013年12月26日
イサンゴ・アンサンブルによるラ・ボエーム公演 とレセプション
イサンゴ・アンサンブルによるラ・ボエーム公演

19-22日、日本国際交流センター/世界基金支援日本委員会は、東京芸術劇場主催のイサンゴ・アンサンブルによる「ラ・ボエームAbanxaxhi」の公演を世界基金とともに共催しました。

この作品は、1830年代のパリ・カルチエラタンが舞台であったプッチーニの名作オペラの設定を、現代の南アフリカのタウンシップ(旧黒人居住区)に移し、南アフリカの芸術家の卵の若者たちのドラマとして再生したものです。ヒロインのミミが結核で亡くなるストーリーに着目した世界基金からの働きかけによって誕生しました。

南アフリカのケープタウンを本拠地とするイサンゴ・アンサンブルは、メンバーの多くが、結核やエイズが蔓延するタウンシップ出身の優れたアーティストです。結核は決して過去の病気ではなく、現代を生きる私たちの問題であることを世界中の人々に知ってもらうため、世界基金とパートナーシップを組み、現代アフリカ版の「ラ・ボエーム」を演じています。2012年にケープタウンで初演があったばかりの新しい作品で、今回アジア初演として東京で公演が行われました。

初日の12月19日は、結核予防会総裁を務めておられる秋篠宮妃殿下と安倍昭恵内閣総理大臣夫人のご臨席を得て開幕し、22日までの間に5公演、述べ2500名の方にご来場いただきました。西洋のオペラの旋律はそのままに保ちつつ、オーケストラの代わりにマリンバとスチールパンの演奏、南アフリカの伝統音楽やダンスを豊富に取り入れた舞台は、多くの観客を魅了しました。オープニングを記念して19日に開催されたレセプションでは、安倍総理夫人より来賓のご挨拶をいただきました。

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安倍昭恵総理夫人

安倍昭恵内閣総理大臣夫人は「本来のオペラの素晴らしさに加え、アフリカのリズム感、ダンス、いままでにない舞台に大変感動した」とイサンゴのメンバーに賛辞を贈り、「マンデラ大統領は、人は全て等しく生まれてくると信念を持たれていました。しかし、感染症は世界中で、今も多くの被害をもたらしています。すべての国々が協力して取り組まなければいけない問題だと思います」と述べられました。

オープニング・レセプションにて 主演のポーリン・マレファネ

イサンゴ・アンサンブルの創設者の一人で、ヒロインのミミを演じたポーリーン・マレファネは、世界基金からパートナーシップの話をもらった時に、これは逃してはいけないチャンスだと感じたと次のように語りました。

「結核は、私たちの親兄弟姉妹、友人の命を奪ってきました。でも、不思議なもので、病気で周囲の人がバタバタと死んでいく状況の只中にいると、実際にどれほどひどい状況かは見えない。デズモンド・ツツ財団からこの病気の統計を初めて聞いて、驚いたわけです。今まではこの問題が当たり前になっていて、いわば免疫ができてしまい、思考が停止していたのかもしれません。それで、世界基金からお話をいいただいた時、これは世の中を変えるチャンスを与えられたんだ、と思いました。しかも、特別なことをするわけではなく、自分たちが楽しんでやっているいつもの音楽を通じて、人々に伝えることができる。かつて、公演を観てくれた人の中に、ラ・ボエームを観た後、今まで避けていた病気の従兄弟に連絡をとることにした、と語ってくれた人がいました。人を変える力がある、ということが今の私のモチベーションになっています。イサンゴは、声が枯れるまで、世界基金と一緒にこの問題を伝えていきたいと思っています。」

2週間前にネルソン・マンデラ元大統領が逝去されたばかりの南アフリカからの30数名のアーティストの来日は、あらためてマンデラ氏を偲ぶ機会ともなりました。共催者を代表して挨拶したクリストフ・ベン世界基金渉外局長は、アパルトヘイト撤廃と民主化を主導したマンデラ氏は、エイズや結核との闘いでも比類なき役割を果たされ、世界基金にとって重要な支援者だったと哀悼の意を表しました。マンデラ氏の遺志を継ぐタウンシップ出身の役者・歌手たちがこの作品に込めた鎮魂の思いと、既存のジャンルにとどまらない迫力ある音楽と踊りが、聴く者の心に残る公演となりました。

安倍総理夫人とイサンゴのメンバーたち
安倍総理夫人とイサンゴのメンバーたち
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