グローバルファンドの國井修氏(戦略・投資・効果局長)による『世界最強組織のつくり方――感染症と闘うグローバルファンドの挑戦』が筑摩書房より8月7日に刊行されます。「グローバルファンドとは何か」が、組織の誕生から未来についてまで、実際の活動や成果事例を交えながらわかりやすく解説されています。
理想の実現を期待され「世界最強の国際機関となること」を追求し続けてきたグローバルファンドの挑戦は、国内外、営利・非営利にかかわらず、また分野を問わず、大きなミッションを担う組織・機関に参考としていただけることが多いのではないかと思います。
また、国際機関における人材の活用(人材・リーダー育成、採用)についても言及されているため、グローバルファンドへの理解を深めたい方は勿論のこと、グローバルに活躍したい方にも是非お読みいただきたい一冊です。
本書はグローバルファンド日本委員会15周年記念事業の一環として出版されます。
國井修著
『世界最強組織のつくり方――感染症と闘うグローバルファンドの挑戦』
ちくま新書(新書判、定価900円+税)
筑摩書房ウェブサイト「これから出る本」にも情報が掲載されています。
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本書カバーより
1990年代に猛威を振るったHIV、結核、マラリア。それら三大感染症と闘うために生まれ、コフィ・アナン、ビル・ゲイツ、ボノ等から絶大な支援を受けてきた国際基金グローバルファンド。その官民共同の新たなビジネスモデルは「21世紀のグローバルヘルスの大いなる革新」と呼ばれ、「世界最強の国際機関」とも称される。戦略局長としてジュネーブを拠点に日々グローバルに活動する著者が、世界最強の組織の条件を、自らの体験をもとに解き明かす。
目次
第一章 世界最強の組織を創る | ||
1 なぜ世界最強の組織が必要となったのか | 「暗黒大陸」アフリカ/「スリム病」の蔓延/世界を席巻する感染症 | |
2 国際社会の対応 | グローバルファンドの誕生/グローバルファンドの「生みの親」日本/新たな組織の必要性 | |
第二章 ビジョンを描く | ||
1 「ビジョン」と「ミッション」 | VMOSAとは何か/バリュー、プリンシプル、社是/グローバルファンドの「ビジョン」と「ミッション」/「ビジョン」と「ミッション」の理解と共有/「バリュー」を紐解く/「プリンシプル」を紐解く | |
2 目標と戦略、実施計画 | 野心的だが現実的な目標設定/持続可能な開発目標SDGs /戦略と実施計画 | |
3 グローバルファンドの目標と戦略 | グローバルファンドの戦略目標/四つの戦略目標/成果・インパクトを生む(戦略目標1)/強靭で持続可能な保健システム強化を支援する(戦略目標2)/人権擁護とジェンダー平等を推進する(戦略目標3)/資源を動員する(戦略目標4) | |
4 グローバルファンドの評価指標と実施計画 | リザルトチェーンを見つめる/リザルトチェーンのメリット/重要業績評価指標の使い方/グローバルファンドの重要業績評価指標KPI/戦略KPIの項目/悪魔は細部に宿る/グローバルファンドの実施計画と個人の活動計画 | |
第三章 パートナーシップを築く | ||
1 強固な連携・協力体制を創るには | 連携・協力の難しさ/連携・協力のための条件 | |
2 二一世紀型パートナーシップとは何か | ビジョン・目標を共有し、責任を分かち合う/最高意思決定機関/じっくり議論し、みんなで決定する/外部専門家とのパートナーシップ/技術支援のためのパートナーシップ/国レベルでのパートナーシップ/市民社会とのパートナーシップ/ゲイツ財団の貢献/民間セクターとのパートナーシップ/世界中にいるサポーターたち | |
3 日本とのパートナーシップ | グローバルファンドの生みの親/日本政府の絶大な支援/日本の民間外交としての支援/日本の市民社会とのパートナーシップ/さらなるパートナーシップへの期待 | |
第四章 資金を集め、投資する | ||
1 資金調達のメカニズム | 先立つものは金/三年に一度の増資会合/資金調達に重要な要素/目標額とターゲットの設定/グローバルファンドの未来予測/国内資金の動員/革新的資金創出メカニズム/民間からの資金 | |
2 投資という考え方 | 学び合う営利と非営利 | |
3 グローバルファンドの投資 | ラウンド制の資金供与/攻めの支援/資金の分配方法 | |
4 資金を活用する | 保健医療分野での貢献/HIV対策/結核対策/マラリア対策/保健システムの強化 | |
5 触媒的投資 | 触媒的投資とは何か/マッチングファンド/多国間アプローチと地域プログラム/戦略的イニシアティブ | |
6 リスクを管理する | 負えるリスク、負えないリスク/グローバル時代のリスクマネジメント/「透明性」と「責任」の追及/グローバルファンドのリスクマネジメント/「透明性」と「説明責任」の落とし穴/リスクをチャンスにする/グローバルファンドにとってのリスクとは/リスク選好とは | |
7 モニタリング・評価 | データ・情報を活用する/グローバルファンドが支援する国レベルの保健医療情報 | |
第五章 インパクトを示す | ||
1 インパクトとは何か | 成果を測る指標/「救った命」はどう数えるのか/成果報告書/グローバルファンドの成果(二〇一八年度)/インパクトが示せない場合 | |
2 成果がもたらされた国々 | ボツワナの事例/エチオピアの事例/ミャンマーの事例 | |
3 効率を高める | バリュー・フォー・マネーという考え方/社会の辺縁にいる人々にこそ届ける | |
第六章 人材を活用する | ||
1 リーダーを選び育てる | 第五レベルのリーダー/グローバルファンドのリーダー/リーダーを育てる | |
2 人材を集める | 武士道型と騎士道型雇用の違い/グローバルファンドに必要な人材とは/求められる能力/国際機関の採用プロセス/どんな日本人が働いているか | |
3 人材を育てる | 人事評価を活かす/三六〇度評価の大切さ/タレントマネジメント | |
第七章 未来を創る | ||
1 感染症流行の終息は本当に可能か | 日本の事例に学ぶ/国のリーダーシップとガバナンス/資源の動員と最適化/インベンションとイノベーション | |
2 生き残るか、進化するか | グローバルファンドは生き残れるか/成功のカギとは/進化する組織/ミッションが達成されたとき |