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[メディア掲載] 貧困層なお有効薬届かず: グースビー国連結核特使による寄稿(日経新聞)

2016年5月15日
[メディア掲載] 貧困層なお有効薬届かず: グースビー国連結核特使による寄稿(日経新聞)
Eric Goosby
エリック・グースビー国連結核特使

本日5月15日の日経新聞の日経アジア感染症会議の特集に、エリック・グースビー国連結核特使の寄稿「貧困層なお有効薬届かず」が掲載されました。

結核は世界で最も死者が多い感染症であり、特に薬が効かない薬剤耐性菌への対策が十分でなく、効果的な薬はコストが高すぎて貧しい人々には手が届かない。結核感染者が多いアジアで事業を展開する日本企業にとっては脅威であると警鐘を鳴らしています。

日本は、先進国としては結核の罹患率がまだ高いのですが、それでも、戦後すぐの時期まで国民病であった結核の大流行を、国をあげた対策で抑え死者数を減らした歴史があります。

グースビー特使は、「日本は結核対策を進めることで、すべての人が適切な保健サービスを受けられるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)(注)の構築につながったと言われる。その経験は他国にとって参考になるだろう」と期待を述べています。

国連の持続可能な開発目標(SDGs)には、2030年までに結核、エイズ、マラリア、顧みられない熱帯病の流行を終わらせることが目標として掲げられています。グースビー特使は、その実現のためにはUHCの達成とともに、世界の結核対策に必要な資金支援を行うグローバルファンドへの十分な支援が必要であるとし、日本はUHCとグローバルファンドの双方に主導的な立場にあり特筆に値する、と結んでいます。

グースビー特使の寄稿(英語)は、第3回日経アジア感染症会議2016のウェブサイトからご覧いただけます。
G-7 Leaders Must Not Ignore TB as a Global Health Threat


(注)ユニバーサル・ヘルスカバレッジ(UHC)とは、

全ての人々が必要なときに基礎的な保健サービスを負担可能な費用で受けることのできる状態。UHCのわかりやすい解説はこちら(UHC Day)。

日本の国民皆保険制度もUHC達成の一つの手段。日本が、まだ経済発展の途上であった1961年に、大きな財政負担なしに国民皆保険制度を開始し順調に運営できた背景には、同時期に政府による結核対策が強化されたことが背景にあると指摘されている。(参考資料:島尾忠雄「日本の結核対策の特殊性」2016年、日本結核病学会『結核』第91巻第2号、その他公益財団法人結核予防会資料)

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