グローバルファンド第5次増資準備会合とUHC国際会議に出席するために来日したビル&メリンダ・ゲイツ財団のビル・ゲイツ共同議長を迎えて、グローバルファンド日本委員会の議員タスクフォースとアドバイザリーボードの合同会合を開催しました。
G7議長国としての日本にさらなるリーダーシップを期待
ゲイツ氏は、グローバル・ヘルス分野におけるグローバルファンドやGavi(ワクチンと予防接種のための世界同盟)が達成した成果を高く評価し、来年先進国首脳会議(G7)の議長国を務める日本がグローバル・ヘルスを主要な課題として取り上げることについて感謝の意を表しました。さらに、ゲイツ氏は議員タスクフォースのメンバーに、日本が2013年の増資会合で表明した拠出誓約を実行し、次の増資サイクルにリーダーシップを示すよう、協力を呼びかけました。
また、ゲイツ財団が力を入れている三大感染症対策におけるイノベーションの進展について、ゲイツ氏は治療薬の研究が進み、より良い治療方法や新しい薬の開発により、エイズや結核患者の治療コストや治療期間が大幅に軽減されたことを紹介し、また高感度の診断キットやマラリア疫学のためのコンピュータモデルが開発・導入されたことで、ゲイツ財団が最優先課題の一つとしているマラリアが根絶できる見込みが見えてきたと、前向きに語りました。そして、アジアにおけるマラリアの根絶は日本が積極的に役割を発揮するチャンスであるとし、日本のリーダーシップに期待を示しました。
三大感染症対策はユニバーサル・ヘルス・カバレッジにも貢献
グローバルファンドのマーク・ダイブル事務局長は、グローバルファンドに対する日本の持続的な支援に感謝の言葉を述べました。世界各地のパートナーの協力や努力によって、三大感染症との闘いは大きな進展を遂げたが、今後の3-5年間は三大感染症との闘いにとって重要な転機であり、ここで止めてはいけないと警鐘を鳴らしました。さらに、追加投資をすれば、今以上に大きな進展を実現する機会を手にすることができ、三大感染症のまん延を阻止することもできると強調しました。また、三大感染症対策によって現地の保健システムが強化され、日本が掲げるユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成にも貢献していると、三大感染症対策とユニバーサル・ヘルス・カバレッジの相乗効果について言及しました。
超党派で持続的な支援をする
ディスカッションの中では、人間の安全保障を外交政策の柱に掲げる日本は来年のG7伊勢志摩サミットでも保健を重要課題のひとつとして取り上げる予定であること、日本企業が開発した結核の診断キットや治療薬が世界の結核治療に貢献する可能性を秘めていること、また、eヘルスが幅広く活用されることへの期待、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定がもたらす治療薬の価格上昇に対する懸念、エイズ患者に対する偏見の克服、日本企業のイノベーションとグロー バルファンドの協力の可能性など、多岐にわたり活発な議論が行われました。伊勢志摩サミット、アフリカ開発会議(TICAD)の開催が予定されてる 2016年は、日本にとって重要な年であり、議員タスクフォースはこれからも超党派で取り組み、グローバルファンドの支援をしていくことを確認し、会議を 閉会しました。