6月24日、厚生労働省および外務省主催、日本国際交流センター/グローバルファンド日本委員会(FGFJ)共催で「グローバルファンド国際調達・海外展開セミナー」を開催しました。本セミナーは、国際公共調達市場への参入や海外展開に関心を持つ日本企業を対象に、グローバルファンドの調達の仕組みや参画機会を紹介するとともに、日本企業の優れた技術や製品を通じた国際保健への貢献や海外展開の促進を目的として開催されました。ハイブリッド形式で開催された同セミナーには、34の民間企業・団体を含む約90名が参加し、グローバルファンド調達への参画や海外展開に向けた課題や機会について、活発な意見交換が行われました。
セミナーの要旨は以下の通りです。
外務省国際協力局の大場雄一審議官(国際保健外交担当大使)は開会挨拶で、グローバルファンドとの連携は国際保健の推進と日本企業の海外展開の双方に資するとの考えを示し、本セミナーを通じて日本企業のさらなる参画が進むことに期待を寄せました。
続いて、厚生労働省医政局総務課医療国際展開推進室の永松聡一郎室長は、医療の国際展開に向けた厚生労働省の取組を紹介しました。国際公共調達を日本企業の海外展開につながる重要な機会と位置付け、情報提供や専門家による伴走支援などを実施していることを紹介し、企業に積極的な活用を呼びかけました。
グローバルファンド調達システムの概要説明
グローバルファンドより、サプライ・オペレーション部長のHui Yang氏をはじめ、調達部及び渉外部の担当者が登壇し、グローバルファンドの調達システムや日本企業の参画機会について説明しました。
- グローバルファンドの調達規模と日本企業への機会
グローバルファンドが年間約20億米ドルを保健医療製品の調達にあてる国際調達機関であることを紹介。その上で、日本関連企業からの累積調達額は12億米ドルを超え、日本の技術が予防・診断・治療から保健システムの強化まで幅広く活用されていることを説明しました。
- 調達システムの仕組み
調達に際して支援国が利用できる3つのチャンネルや共同調達メカニズム(PPM)、オンライン調達プラットフォーム「wambo.org」の仕組みを紹介。需要を集約して価格交渉や安定供給を実現することで、高品質の保健医療製品を必要とする人々へ効率的に届けていることを説明しました。
- 品質保証と市場形成
WHO事前認証(PQ)などに基づく品質保証制度や、革新的な医療製品の普及や持続可能なサプライチェーンの構築を目指す「市場形成(NextGen Market Shaping)」の取組を紹介し、品質と安定供給を両立するためのグローバルファンドの戦略を説明しました。
- 日本企業へのメッセージ
最後に、グローバルファンドとの連携は、品質が保証された保健医療製品を世界に届けるだけでなく、日本企業にとっても新たな市場へのアクセスや海外展開につながる機会であると強調し、積極的な参画を呼びかけました。
国際展開における取組・経験共有
富士フイルム株式会社ガバメントリレーションズ推進部マネージャーの瀬川敦信氏より、「医療機器の国際展開に関する取組ご紹介」と題して、自社製品の海外展開の取組や経験が紹介されました。
同社は、結核対策を重要な社会課題の一つと位置付け、携帯型X線画像撮影装置にAI技術を搭載した「FDR Xair」を活用した結核検診の普及に加え、国際機関や各国政府との連携を通じた国際展開に取り組んでいることを紹介しました。また、ベトナム、パキスタン、ネパールなどでの取組事例を交えながら、持続的な事業展開には、現地のニーズを踏まえた関係機関との連携が重要であることを説明しました。さらに、国際公共調達市場への参入に向けた自社の取組や課題について、国際的なガイドラインへの準拠や推奨の獲得、グローバルファンド調達への参画、各国政府との対話、現地法人によるサポート体制の構築など、これまでの経験を交えながら紹介しました。最後に、こうした取組を通じて、結核対策をはじめとする開発途上国の保健課題の解決やユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進につながる取組を進めていく展望が示されました。
富士フイルム株式会社の発表を受け、グローバルファンドのHui Yang部長は、日本企業が国際公共調達市場で存在感を高めるためには、支援国における認知度向上、価格だけでなく品質や供給体制を含めた競争力の強化、各国市場へのアクセス拡大が重要であると述べました。
続く質疑応答では、中小企業・スタートアップの参画に向けた支援のあり方や、国際協力機構(JICA)や日本大使館との連携、WHO事前認証(PQ)やグローバルファンドの専門家審査パネル(ERP)など品質保証制度の活用、開発初期段階からのグローバルファンドとの対話などについて、参加企業と活発な意見交換が行われました。
閉会にあたり、厚生労働省の江副聡 国際保健福祉交渉官は、本セミナーを契機に、日本企業がグローバルファンド調達への理解を深め、(直後に開催の)ネットワーキング・レセプションや個別相談会も活用しながら国際展開につなげていくことへの期待を述べました。また、日本政府としても、日本企業の優れた技術や製品が世界の保健課題の解決に一層活用されるよう、引き続き後押ししていく考えを示しました。
ネットワーキング・レセプション
セミナー終了後には、日本国際交流センター/グローバルファンド日本委員会主催(外務省、厚生労働省共催)でネットワーキング・レセプションを開催しました。セミナー参加企業に加え、グローバルファンド支援国を含むアフリカ14カ国の駐日大使館から大使を含む外交団が参加し、参加者同士が活発に交流しました。レセプションでは、ベクターコントロールやドローン技術の活用などをテーマに、新たな連携やビジネス機会について意見交換が行われました。
個別相談会
翌6月25日には、日本国際交流センター/グローバルファンド日本委員会主催、外務省および厚生労働省共催でグローバルファンド調達部および渉外部との個別相談会を開催しました。12企業・団体が参加し、グローバルファンド調達や海外展開に向けた個別相談が行われました。
グローバルファンド日本委員会は、今後も関係省庁やグローバルファンドと連携し、日本企業のグローバルファンド調達への参画や海外展開を後押しするとともに、日本の優れた技術・製品が世界の感染症対策や保健システムの強化に一層活用されるよう取り組んでまいります。





