結核による死亡者数は、2000 年以降、減少傾向でしたが、2015 年に再び増加し、世界で年間180万人もの命が奪われました。結核の発病件数の60% 以上はアジアに起きており、日本の周辺国の多く―インド、中国、北朝鮮、インドネシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナム、バングラデッシュ、パキスタン―は、世界保健機関(WHO)に結核高負担国と指定されています。
2014 年、結核はエイズを超えて、世界で最も死亡者数が多い感染症となりました。また近年では、薬が効かなくなる多剤耐性結核(MDR-TB)の拡大や深刻化など、結核が地球規模での公衆衛生の脅威として、喫緊の課題と認識されたことから、国連による結核ハイレベル会議が2018 年に開催されることが決定しました。
過去の病気ではない
日本では「過去の病気」として忘れられつつありますが、実際には現在でも毎年約2000人が結核で亡くなっています。政府もその脅威に再び目を向け、2020年までに全国の人口10万人当たりの罹患率を10 以下に下げ、「低まん延国」にするという目標を掲げています。訪日外国人観光客誘致政策の実施と外国人労働者の増加により、今後ますます多くの外国人が日本に訪れると予測されます。グローバル化が進み、国境を超えた人やモノの移動が激しい現代において、世界における結核の流行はもはや他人事ではなく、日本も世界各国と協力し合い対策に取り組む必要があります。
FGFJレポートNo.12(2017年4月)掲載