日本のNGO連合が、世界の貧困をなくすために展開する「ほっとけない 世界のまずしさ」キャンペーンの一環で販売してきたホワイトバンドの売上が9億円に達することになり、キャンペーン実行委員会は11月8日に開いた記者会見で、収益の使途の第1弾として、25万ドル(約2850万円)を世界エイズ・結核・マラリア対策基金に拠出することを発表しました。
三大感染症の影響を最も強く受けているのは途上国の貧困層であり、貧困問題の克服には、感染症への取り組みが不可欠です。貧困と感染症の悪循環を断ち切るために、最も効果的な活動を行っている組織のひとつとして、世界基金が寄付先の第1号に選ばれました。実行委員会では、日本のNGO連合がこの拠出をすることによって、世界各国の政府や経済界など国際社会に対して三大感染症への取り組みの強化を訴えたい、としています。
記者会見には、リチャード・フィーチャム世界基金事務局長がビデオで感謝の言葉を寄せたほか、逢沢一郎・自民党幹事長代理(世界基金支援日本委員会議員タスクフォース幹事)と当委員会ディレクター山本正が出席しました。
逢沢議員からは、日本のNGOがこのような決定をしたことに対する感謝とともに、このキャンペーンが市民に意識変化をもたらしつつあることに敬意が表されました。また、外務副大臣として10月末にルワンダを訪問し、世界基金の資金援助による病院を訪問、エイズ治療や検査の現場を視察された時の様子のご報告がありました。山本も同様に感謝の念を表すとともに、「このキャンペーンの成功は、日本の市民社会発展のブレイクスルーになるのではないか」と期待を述べました。
(写真提供:「ほっとけない 世界のまずしさ」キャンペーン実行委員会)
「『ほっとけない 世界のまずしさ』キャンペーン」による世界基金への寄付に関する記者発表のためのビデオ・メッセージ
日本のみなさん こんにちは。
世界基金のリチャード・フィーチャムです。
世界基金のアイディアは、2000年の九州・沖縄サミットで生まれました。
G8各国の首脳たちは、貧困の克服と持続的な開発には、貧しい人々を苦しめる3つの感染症との闘いが何よりも大事だ、と合意したのです。
エイズ、結核、マラリアは、毎年合計600万人以上の人命を奪っています。家族はばらばらになり、子供たちは親を失い、社会全体が崩壊していくのです。みな、この恐るべき感染症のためです。
世界基金は、2002年に設立されました。
世界中から大規模な資金を集め、感染症対策に投入することを目的としています。
これまで131カ国、370の事業に、合計46億ドルの資金提供が決定されています。これによって、およそ200万人にエイズ治療を、500万人に結核の治療を、また、2億6400万人に効果的なマラリア治療を届けることが可能になります。
日本は、これまでも、また今後も、世界基金の中で極めて重要な存在です。
日本は世界基金の「生みの親」の一つです。また、今年、日本政府は、小泉首相のリーダーシップのもと、拠出額を大幅に増やし当面5億ドルを拠出すると表明しました。
日本の市民社会も同様です。世界基金支援日本委員会をはじめ、この拠出表明の実現に大きな役割を果たしてくれました。山本正さんはじめ、世界基金支援日本委員会の素晴らしい活動に感謝いたします。
さらに今回、世界基金が、「ほっとけないキャンペーン」によるホワイトバンドの売上から寄付を受ける団体の一つに選ばれたことは大変名誉なことであり、深く感謝いたします。
これは、我々に対する信頼の表れだと思っています。最も助けを必要としている人々に手をさしのべることができ、確実に成果を出せるのは 世界基金である・・という信頼です。 私達はこのことを誇りに思うと同時に、謙虚に受けとめたいと思います。
今回いただくことになったお金によって、5万世帯がマラリア予防の長期残効型蚊帳を手にすることができます。もしくは、500人の人が一年間エイズ治療を受けることができます。 世界基金は、皆さんから頂いたお金を有効に使うことをお約束します。
しかし、この寄付以上に素晴らしいのは、より多くの日本人に世界基金のことを知ってもらうための皆さんの活動です。世界基金に対する資金ニーズは膨大で、2006-2007年までの2年間で、70億ドル以上が必要とされています。
我々は皆様の協力のもと、より多くの資金を確保して、世界の三大感染症と闘い、そしてそのことを通して、世界の貧困と闘っていきます。
本当にありがとうございました。皆様のご支援に感謝いたします。 ごきげんよう。
2005年11月8日