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グローバルファンドによる感染症対策支援のUHC達成への貢献(2014-2015年度)

グローバルファンドによる感染症対策支援のUHC達成への貢献(2014-2015年度)

グローバルファンドの支援はどのようにUHC達成に貢献しているか?

グローバルファンドは、エイズ、結核、マラリアの三大感染症に集中して支援を行うことで、かつて途上国では不可能といわれたこれらの疾患の治療を可能にし、感染の拡大の勢いを沈め、何百万という命を救ってきました。この三疾患の治療や予防へのアクセスが格段に向上したことにより、ユニバーサル・ヘルスカバレッジ(注)の実現に貢献しているのは言うまでもありませんが、三疾患の克服に必要な保健システム(保健医療施設、保健医療従事者の能力強化、医薬品供給体制、医療費の保障制度、文化的社会的障壁の軽減など)も支援していることで、近年は、三疾患を超えて基礎的な保健医療サービスの拡大に貢献していると考えられる事例もみられるようになってきました。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジは、2012年12月の国連総会で国際社会の新たな目標として決議され、日本政府も「国際保健外交戦略」の柱と位置付けています。グローバルファンド日本委員会では、グローバルファンドの活動と日本の政策との関連性をより明確にするため、2014年~16年にかけて、グローバルファンドの三大感染症対策への支援が、直接的な三疾患対策を超えた波及効果を生み、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現に貢献している事例を調査するプロジェクトを実施しました。

本調査では、フィールド調査と文献調査により、エチオピア、ルワンダ、ミャンマーにおけるグローバルファンドの支援とその影響を分析し、三大感染症対策と、より広い保健システム強化とが密接に関連することを示しています。特に、国の側で綿密に計画している場合は、個別の疾病対策で飛躍的な効果をあげつつ、同時に、全般的な保健医療サービスの質やアクセスにも寄与しWin-Win の関係を作り出していることが明らかになりました。

成果報告書

Leveraging Disease Funding to Advance Health for All—The Global Fund and Universal Health Coverage

 2017年12月 日本国際交流センター/グローバルファンド日本委員会発行
 
日本語による概要はこちらをご覧ください。
 
 

プロジェクト

UHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)とは?

UHCとは、Universal Health Coverageの略で、「すべての人が、予防、治療、リハビリなどの保健医療サービスを、支払可能な費用で受けられること」とWHOにより定義されています。健康保険はその一つの手段で、まだ貧しかった1951年に日本が国民皆保険制度を達成し、誰でも低額の費用で医療を受けられるようになったことが、日本のUHC実現に大きな役割を果たし健康長寿社会の基礎となりました。こうした過去の実績と、急速な高齢化に直面している現代の日本の知見は、世界から注目されています。

日本国際交流センター(JCIE)では、グローバルファンド日本委員会のほかにも、グローバルヘルス全般の政策対話・提言を行う事業「グローバルヘルスと人間の安全保障」プログラムを実施しており、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの領域では、以下のプロジェクトがあります。

 

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジに関する日本・世界銀行共同研究プログラム

世界銀行による多国間国際研究「包括的かつ持続可能な開発に向けたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」の11か国の事例研究のうち、JCIEは日本に関する事例研究と日本で実施される諸会合の事務局を担いました。

 

ランセット誌日本特集号プロジェクト

日本の国民皆保険達成から50年の節目を迎える2011年に、英医学誌ランセットが日本の健康保険制度をテーマとする特集号を刊行しました。JCIEはランセット誌と共同で、日本特集号プロジェクト研究チーム(実行委員長 武見敬三JCIEシニアフェロー)を組織し、以下の特集号が和英で刊行されました。
ランセット誌日本特集号 (英文) Japan: Universal Health Care at 50 Years
ランセット誌日本特集号 (和文) 国民皆保険から50年

キャプション:農村で活躍する保健普及員の女性への聞き取り調査(エチオピア)
キャプション:農村で活躍する保健普及員の女性への聞き取り調査(エチオピア)