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アイダ・クルトヴィッチ理事会副議長来日の主要メッセージ

2016年2月10日
アイダ・クルトヴィッチ理事会副議長来日の主要メッセージ

世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)のアイダ・クルトヴィッチ理事会副議長が、2月3日から6日にかけて日本を訪問しました。2015年4月に理事会副議長に就任してから初めての訪日では、グローバルヘルス関係者とともに安倍総理を合同表敬した他、木原誠二外務副大臣への表敬訪問、グローバルファンドの活動を応援する国会議員、省庁の幹部との意見交換、国際ラウンドテーブル「GGG+フォーラム2016:G7サミットとグローバル・ヘルスの課題」にスピーカーとして参加、またメディアの取材に応じました。

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クルトヴィッチ副議長(左)による木原誠二外務副大臣(右)の表敬訪問
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GGG+フォーラムにスピーカーとして参加したクルトヴィッチ副議長

ボスニア・ヘルツェゴビナ出身のクルトヴィッチ氏は、長年NGO活動を通じて国内の保健医療サービスの改善、とりわけHIVの予防やHIV陽性者の生活向上に携わってきました。母国でグローバルファンドの申請案件の形成や調整、事業の実施状況を監督する国別調整メカニズム(CCM)の副代表を務めたこともあり、その経験を活かして現在グローバルファンドの理事会副議長としてグローバルファンドの運営や意思決定に関わっています。クルトヴィッチ氏は、ご自身の特殊な経験を踏まえて、来日中にグローバルファンドの支援による保健システムの強化や最新成果のほかに、グローバルファンドの支援がボスニアにもたらした変化について語りました。諸会合での主要なメッセージは以下の通りです。

三大感染症との闘いで確実な成果を達成

グローバルファンドは2002年に設立されてから、各国政府、国際機関や企業、シビルソサエティ、感染症の当事者等の協力により、三大感染症との闘いに顕著な成果を達成できた。設立から2014年末まで、推計1700万人の命がグローバルファンドが支援するプログラムを通じて救われた。またグローバルファンドが支援する国では、2014年のエイズ、結核、マラリアによる死亡者数は2004年に比べてそれぞれ40%、29%、48%減少した。これらの数字はグローバルファンドの支援の確実なインパクトを物語っている。

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グローバルファンドが支援するプログラムを通じて救われた命の数(推計)
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グローバルファンドが支援するプログラムを通じて救われた命の数(推計)

強靭で持続可能な保健システムの構築に貢献

三大感染症にとどまらず、グローバルファンドが支援するプログラムのインパクトは保健システムの強化にも及んでいる。実際、グローバルファンドが供与する資金の40%は保健システムの強化に割り当てられ、保健医療サービスの改善、情報や財務管理能力の向上、医薬品の調達や供給システムの整備、ヘルスワーカーの教育などに使用される。グローバルファンドの支援は、日本の外交政策の柱のひとつである人間の安全保障の普及手段であるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現にも大きく貢献している。

母国ボスニアでグローバルファンドがもたらした変化

グローバルファンドの支援が始まる前に、ボスニアにはHIVの検査や治療、カウンセリングはなかった。これらのサービスを提供するためのトレーニングを受けた医療従事者もいなかった。また、男性同性愛者に対する偏見や差別は強く、彼らを助ける団体は一つもなかった。現在はだれでもHIVの検査や治療、カウンセリングサービスを受けられる。グローバルファンドの支援が触媒的な役割を果たし、政府や企業、NGOなどが当事者意識を持って、自国の感染症対策に積極的に取り組むようになった。これは劇的な変化である。グローバルファンドの支援のおかげで、現在、ボスニアのHIV陽性者は266人にとどまっていると推計されている。これは人口の350万人に対してとても低い数であり、HIVの闘いにおいて大きな成果といえる。

日本のさらなるリーダーシップに期待

日本はグローバルファンドの「生みの親」であり、今まで23億4645万ドルを拠出してきた。ドナー国として5番目の規模を誇る日本は、2013年の増資会合で8億ドルの拠出誓約を表明した。このうち2015年12月までは、すでに4.79億ドルが拠出され、2015年度の補正予算からさらに1.79億ドルが拠出される予定である。G7伊勢志摩サミットにおいて、保健を優先課題として取り上げ、国際的な議論に主導的な役割を果たしていく意思を表明した日本には、残りの1.42億ドルの拠出を是非今回の増資期間内に実行していただくことを期待したい。

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