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SwitchPoint Shibuya(スイッチポイント渋谷)イベントレポート

2019年9月18日
SwitchPoint Shibuya(スイッチポイント渋谷)イベントレポート

JCIE/グローバルファンド日本委員会では、グローバルファンドおよび米国のNGOイントラヘルス・インターナショナルとの共催で、「スイッチポイント渋谷:アフリカxヘルスケアxイノベーション」を8月31 日に東京・渋谷のEDGEofで開催しました。

SwitchPoint(スイッチポイント)は、米国ノースカロライナで誕生したインテラクティブなセミナーで、音楽やダンスなどパフォーマンスで惹きつけながら、人道問題、グローバルヘルス、イノベーションなどについて考えてもらう体験型のコンファレンスです。今回、TICAD7(第7回アフリカ開発会議)の機会に初めて日本でスイッチポイントを開き、アフリカのヘルスケア、その中でもエイズ、結核、マラリア、それを支える保健医療人材をテーマに参加型のネットワーク・イベントを開催しました。

先日公開したイベントレポートに引き続き、スイッチポイント渋谷の2大メインイベントの、トークセッション「Stories from the Frontlines ―ヘルスケア最前線とイノベーション」と「Microlab ―体験型マイクロラボ」に関するイベントレポートをお届けします。

Stories from the Frontlines ―ヘルスケア最前線とイノベーション

トークセッション「Stories from the Frontlines ―ヘルスケア最前線とイノベーション」では、アフリカ出身の若手活動家や世界を相手にイノベーションを仕掛ける企業家から自身の経験や、ヘルスケアや三大感染症に対する各々の取り組みについて共有しました。今回は、来日したグローバルファンドのアドボケーツ4名 ―オリビア、ニコラス、ゾレーワ、ビバリーのスピーチを紹介します。

マラリア排除のためのグローバル市民社会組織(CS4ME)オリビア・ンゴー photo: The Global Fund/Shugo Takemi

カメルーン出身のオリビアは幼少期にマラリアに感染し、1人のコミュニティヘルスワーカーの支援により命を救われました。病院から遠く離れた村には、そのコミュニティヘルスワーカー以外にマラリアを診断し、治療できる人はいませんでした。マラリアの診断キットや治療薬も入手がとても難しく、グローバルファンドの支援により入手できていたといいます。毎年、世界で多くの命がマラリアによって奪われているなかで、一つでも多くの命を救うために、名も知れず日々奔走するコミュニティヘルスワーカー。その存在や自身のマラリアに感染した経験は、オリビアに多大な影響を与え、やがて彼女自身も「Impact Sante Afrique」という組織を立ち上げ、少しでも多くの人が適切な医療サービスを受けられるように活動するようになったことを共有し、そしてマラリア終息に向けての闘いの重要性について強調しました。

ウガンダHIV陽性若者ネットワーク(UNYPA)事務局長のニコラス・ニワガバ photo: The Global Fund/Shugo Takemi

ウガンダ出身のニコラスは、彼が14歳の時にクラスメイトの1人がHIV陽性というだけで先生から差別を受けたことで、学校に来られなくなってしまったという話を共有し、そのことをきっかけにHIVに対する偏見をなくすための教育や啓もう活動をするようになったと話しました。ニコラスは若者たちが質の高い「性と生殖に関する健康と権利(SRHR)」及びHIV検査や治療、情報にアクセスできる環境整備のためのアドボカシー活動を牽引しています。そのなかで、昔学校を去っていったクラスメイトと再会して、現在は一緒にHIV陽性の若者たちのために力を合わせていると話しました。

多剤耐性結核を経験した医師ゾレルワ・シフンバ photo: The Global Fund/Shugo Takemi

南アフリカ出身のゾレーワは、医学生として仕事をしていたある日突然、結核であると告げられ、そこから始まった長い治療は、肉体的にも、社会的にも、精神的にも彼女にとって人生で最も過酷な経験であったことを共有しました。「どうして自分が、なぜ結核に」「自分は生き延びられるのだろうか」など繰り返し自問しながら、長い闘病生活を乗り越え完治した今、医師として働くゾレーワは、つらい治療に挑む患者に寄り添っています。そして同僚の医療従事者に対して、結核は命を危険にさらす危険性があり、その脅威から身を守ることの重要性を伝えているといいます。そして最後に会場の参加者に対しても、「ただ呼吸しているだけで結核に感染するリスクがある―そのことをしっかりと認識して、結核流行の終息に向けて皆が力を合わせて取り組んでいく必要がある」と強く呼びかけました。

ソフィーボット社共同創設者ビバリー・ムティンディ photo: The Global Fund/Shugo Takemi

ケニア出身の社会起業家であるビバリーは、Sophie.botという人工知能(AI)を搭載したツールを開発するきっかけとなったある女の子について紹介しました。ソフィーという名のその子は、若くして妊娠し、そして同時にHIVに感染していることもわかりました。相手の男性は彼女のもとを去っていき、ソフィーはただひとり、何をしたらよいのかも誰に相談したらよいのかもわからず苦境に立たされたそうです。「このようなソフィーに起きた出来事はアフリカでは決して珍しいことではない」とビバリーは参加者に呼びかけます。彼女はソフィーのような経験をする若者を1人でも多く助けたいという思いから、若者の性や生殖について何でも相談でき、親身に話を聞いてくれるSophie.botを開発しました。未だ解決すべき技術的な課題は多数あるものの、テクノロジーの力で、若い人たちが必要なときに正しい知識にアクセスできるようになり、もっと自分たちの性や生殖に関する健康や問題について考え適切な判断ができるようになることを目指していると話しました。

Microlab ―体験型マイクロラボ

マイクロラボはイベント主催者やスピーカーをファシリテーターとした参加者全員が参加できるワークショップです。会場には各マイクロラボのロゴが描かれている4種類のチケットが天井から吊下げられており、Microlab Selection Activityにおいて参加者の皆さん自身に興味・関心のあるマイクロラボのチケットを取っていただき、それぞれ体験するマイクロラボを決定しました。

 

Future of Health in Africa ―20年で世界は変わる

Tech for Good ―人々の役に立つ技術とは?

Frontline Heroes: Communicating Compassion ―最前線のヒーロー達

Games for Good ―ゲームは世界で一番良い先生!?

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