ダイブル事務局長来日の主要メッセージ

  • 2016年10月24日~26日

この記事の掲載日 : 2016年11月04日(金) この記事のカテゴリー : , ,


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世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)のマーク・ダイブル事務局長が、國井修 戦略・投資・効果局長、高山眞木子渉外局ドナー・リレーションズ担当官とともに、10月24日~26日にかけて日本を訪問しました。2013年に事務局長に就任して以来5回目となった今回の来日では、塩崎厚生労働大臣、岸外務副大臣、薗浦外務副大臣への表敬訪問のほか、超党派の国会議員、関係省庁の幹部、研究者・実務家を対象とするセミナー、官民の有識者によるグローバルファンド日本委員会アドバイザリーボードとの意見交換、新宿区の結核対策の現状視察、メディアの取材などを行いました。来日中の諸会合での主要メッセージは以下の通りです。

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グローバルファンド日本委員会議員タスクフォース会合でグローバルファンドの成果を報告するマーク・ダイブル事務局長

グローバルファンドの成果

グローバルファンドは三大感染症の最大の資金提供機関として、2002年設立してから今年7月まで合計300億ドルを途上国に提供した。各国政府、国際機関、企業、市民社会、感染症の当事者の皆さんとのパートナーシップで努力を重ねた結果、設立以来2015年末までに、以下のような目覚しい成果を達成できたことを嬉しく思う。

  • グローバルファンドが支援するプログラムを通じて、2015年末までに2000万人の命が救われた。2016年末までに2200万人の命を救うという目標も達成できる見込み。
  • 920万人のHIV感染者が抗レトロウィルス治療を受けている。また、これまでに1510万人の結核患者が新規に発見され治療を受け、6億5900万張りの殺虫剤処理蚊帳がマラリア感染予防のために配布された。
  • 過去15年間のグローバルファンドが支援する国におけるエイズ・結核・マラリアによる死亡者数の推移は以下の通りである。グローバルファンド設立の2002年に比べて死亡者数は三分の一以上減少した

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成功を収めた第5次増資会合

201610_Mark Dybul Japan visit9月16日~17日に、カナダ・モントリオールにて開催されたグローバルファンド第5次増資会合では、各国政府や民間セクターから合計129億ドルの拠出誓約が発表され、目標金額の130億ドルをほぼ満額達成した形で幕を下ろした。多くの国が拠出金を増やし、多数の新しいドナーが加わっただけでなく、アフリカから過去最多の10カ国、合計3500万ドルの拠出誓約が表明されたことは特筆に値する。

今回誓約された資金で、今後3年間の間に最大800万人の命を救うことができ、また3億人のHIV、結核、マラリアの新規感染を回避することができる。また、グローバルファンドの資金供与システムを通じて、支援を受ける国々が保健分野に充てる国家予算を410億ドル増やし、また長期的には最大2900億ドルにのぼる経済効果をもたらすことができると試算している。

日本の貢献に感謝

日本の新たな8億ドルの拠出表明に感謝したい。日本政府が2015年12月に東京で開催した第5次増資準備会合とその前日に開かれたUHC国際会議が、グローバルファンド増資に向けた一連のプロセスの嚆矢となった。その後、G7伊勢志摩サミットにさきがけ今回の拠出表明を発表し、また増資会合直前の8月末にはナイロビで第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)を開催し保健を主要アジェンダに取り上げるなど一貫して国際議論を牽引した。増資会合の成功に日本は大きな役割を果たしていただいたと思う。

日本は三大感染症対策を含むグローバルヘルス分野の政策形成に知的な貢献をしている。2008年のG8洞爺湖サミットでの保健システム強化の強調や、2013年に安倍総理大臣から発表されたユニバーサル・へルス・カバレッジを推進する政策、今年5月に打ち出された国際保健のためのG7伊勢志摩ビジョンなど、外交政策の柱である人間の安全保障を軸にグローバルヘルス分野において積極的にリーダーシップを発揮してきた。これからも日本の強いリーダーシップに期待したい。

また、資金的・知的リーダシップにとどまらず、日本は優れた技術を活かした製品で三大感染症との闘いに大きく貢献している。2009年1月から2016年4月までの7年余りの期間に、グローバルファンドの資金を使って各国が調達した保健分野の日本製品(蚊帳、抗結核薬、診断薬、検査キット、顕微鏡など)の調達額は4億3940万ドルにのぼる。

持続可能な開発目標(SDGs)時代に適した中期戦略

昨年、持続可能な開発目標(SDGs)が国連SDGsサミットで採択された。グローバルファンドが目標とする三疾病との闘いはSDGsの中にしっかりと組み込まれている。今年4月にグローバルファンド理事会で承認された2017年~2022年の中期戦略には、SDGsの実現に向けて、①三大感染症対策のインパクトの最大化、②強靭で持続可能な保健システムの構築、③人権やジェンダー平等の促進、④より多くの資金調達の4点を目標として掲げた。

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グローバルファンドは三大感染症対策を通じて、中低所得国の人々の健康を支えるシステムを強靭で持続可能なものにしていきたいと考えている。これは、日本が推進するユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と軌を一にしており、グローバルファンドはUHCの達成に貢献していく。また、感染が広がる集団の社会的な背景を考慮し、プライマリーヘルスケア、教育、ジェンダーなども含め横断的・包括的な視点も強化していきたい。

日本の結核対策とグローバルファンド

今回の訪日では、新宿区の結核対策の現状を視察する機会を得た。日本の中では結核罹患率が高い地域で、高齢者、ホームレスの人々に加え、近隣のアジア諸国出身の若い世代の外国人住民の間での結核が憂慮されていると報告を受けた。世界保健機関(WHO)が最近、年次報告書(Global Tuberculosis Report 2016)を発表したが、世界の年間結核発生数の6割を占める6カ国のうち4カ国(インド、インドネシア、中国、パキスタン)はアジアの国々である。グローバル化に伴い、観光や仕事で人の移動が増加する中、自国の結核対策のためには、近隣諸国の結核対策への継続的な支援が必要だ。さらに、日本は結核の専門性が高く、アジア地域の結核対策に日本の知見や経験を積極的に活かしていただくことを期待している。

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薗浦健太郎外務副大臣への表敬訪問(写真提供:外務省)

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結核研究所の石川信克所長とともに、新宿保健所の結核プログラムを視察

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