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大塚製薬の抗結核薬 有効性を示すデータに国際社会からの期待高まる

2015年7月23日
大塚製薬の抗結核薬 有効性を示すデータに国際社会からの期待高まる

大塚製薬が40年以上にわたり研究開発してきた抗結核薬「デラマニド」が、超多剤耐性結核(注)に対して有効であること示すデーターが、7月16日発行の医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」(New England Journal of Medicine)に掲載されました。世界保健機関(WHO)が推奨する標準治療に上乗せしてデラマニドを服用した超多剤耐性結核患者は、服用しなかった患者に比べ治療の成功率が2倍以上高くなる可能性が示されました。

*論文掲載の詳細は、大塚製薬のニュースリリースをご覧ください。

ストップ結核パートナーシップのルチカ・ディトゥ事務局長はニュースレターで、デラマニドによる新しい治療への期待を表し、「超多剤耐性結核は、最も恐ろしいタイプの抗菌薬耐性であり、こうした耐性をきちんと治療できるようになるまで、結核との闘いは終わらない。一刻も早く、治療を必要としている人がデラマニドにアクセスできるよう、国際社会は英知を結集する必要がある」と述べ、そのためには、デラマニドがきちんとした管理のもとに服用されるよう制度を整え、薬剤の安定供給と手頃な価格での供給が可能になるようグローバルな協力が必要であると指摘しています。

結核について
結核とは、結核菌により引き起こされる感染症です。空気を通じて感染します。WHOの発表によると、2013年には、推定900万人が結核を発症し、150万人が結核によって命を落としました。その多くはアジアやアフリカの途上国に集中し、人々の健康が脅かされるだけでなく、国の成長や発展も妨げられます。 治療薬の開発や保健システムの強化により、結核は一時的に緩やかな減少傾向をたどり始めましたが、不適切な治療や投薬の中断で治療薬に耐性を持った結核菌が発生し、多剤耐性結核が生まれました。それに加え、HIV/エイズの世界的まん延によってHIV感染者が増える中で、エイズに合併した結核の発症も増えています。 日本では年間約2万人が新たに結核を発症し、毎年2000人以上が亡くなっています。先進国の中では罹患率は比較的に高く、「中まん延国」と分類されています。近年では、高齢者や低所得者の増加につれ、結核に感染しやすい人口が増えており、より一層の感染予防対策が必要です。

(注)超多剤耐性結核
 現在有効な二つの薬剤に耐性を示す結核を多剤耐性結核と呼びますが、「超」多剤耐性結核とは、さらにもうひとつの薬剤と注射薬にも同時に耐性を持つ結核です。治療は非常に難しく、日本を含む世界100カ国以上で報告されています。

*結核についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

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