The Global Fund

マーク・ダイブル事務局長の紹介

「日本の皆様へ」

2013年3月

マーク・R・ダイブル グローバルファンド事務局長

日本の皆さんは、いつも世界の恵まれない人々に手を差し伸べてきました。

その意思には確固たるものがあります。日本は過去10年の間にグローバルファンドを通じて発展途上国の三大感染症対策を支援してきましたが、2012年にはこれまでで最高額の資金をグローバルファンドに拠出しています。

グローバルファンドのルーツは日本にあります。2000年のG8九州沖縄サミットで、感染症対策のための資金調達機関の必要性が唱えられたことが、グローバルファンドの設立につながりました。

日本による過去最高額の支援の発表は、事務局長に選出されたばかりの私を大きく勇気づけました。経済が混迷を深めるなかでも、苦しんでいる人々のための活動を支え続けて下さる人たちが沢山いることがわかったからです。

日本のこの姿勢は、人間の根本的な特性をよく表しているように思います。人は、お金が余っているから他者に分け与えるわけではない。自分が持っているもので多くの人々を救えることを知っている。だから人は、限られたものを分かち合う――分かち合うことで私たちの心も豊かになるのです。

日本はグローバルファンドの最大の支援国のひとつです。日本の支援を受けたこの10年間で、私たちは大きな成果を挙げることができました。エイズの治療を受けている人は世界で800万人にのぼりますが、そのうち420万人が、グローバルファンドの支援を受けたプログラムで治療を受けています。また、こうしたプログラムで、170万人の妊婦が子どもへのHIV感染を予防するための治療を受けられるようになりました。

アフリカのタンザニアでは、2015年までに妊婦の96%がHIV検査とカウンセリングを受け、HIVに感染した妊婦34万6000人以上が子どもへの感染予防のための治療を受けられるようになることを目指しています。

国際協力機構(JICA)は、特にアフリカの国々で技術支援と感染症対策事業を実施する人々の能力強化を行っており、グローバルファンドの重要なパートナーです。

私たちと、世界中で対策に取り組むこうした仲間たちの取り組みによって、世界は着実に変わりつつあります。エイズに関連する死亡者数は、2001年の210万人から2011年には170万人へと減少しました。また2011年のHIV新規感染者数は2001年と比べて70万人以上少なくなりました。

三大感染症との闘いに、ようやくゴールが見えてきたように思います。10年前には想像すらできなかった偉業です。

私たちはエイズ、結核、マラリアの流行を抑えるという歴史的な好機を迎えようとしています。そして、この闘いを終わらせるために重要な役割を果たしている日本に本当に感謝しています。

グローバルファンドがその任務を果たすためには、これまでの取り組みを続け、同時に細心の注意をはらいながら、この間に得られた数多くの教訓を生かしていかなければなりません。

感染症の流行を抑えるという目標に向けて、後退することなく、その目標を達成するためには、今後も資源を集中させていかなければなりません。疾病対策への投資を今やめてしまえば、この10年間に積み上げてきた成果は水泡に帰すことになるでしょう。ここで立ち止まるわけにはいかないのです。

三大感染症を打ち負かすためには、まだまだ多くの資金が必要です。ビッグ・プッシュ(さらなる一押し)が求められています。グローバルファンドが使命を果たすために、これからも日本は支援を続けて下さる。私たちはそう信じています。

2013年3月8日付 グローバルファンド・ブログより



マーク・ダイブル略歴

免疫学専門の医師、行政官、大学教員などの立場から、25年以上にわたり感染症の予防と治療に携わってきた。

1992年に米国ジョージタウン大学医学部を卒業後、1995年より米国立衛生研究所アレルギー・感染症研究所にて、HIVウィルス学、免疫学、治療最適化に関する基礎・臨床研究(アフリカでの抗レトロウィルス薬併用療法に関する世界初の研究を含む)に従事した。

2003年からは米国大統領緊急エイズ救援計画(PEPFAR)の設立を主導し、その後2006年に同機関の代表であるグローバル・エイズ調整官(国務次官補級)に任命され、2009年まで務めた。

その後、2012年までジョージタウン大学オニール研究所国際保健法プログラムの共同ディレクター、また同研究所の名誉客員研究員。2013年1月に世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)事務局長に就任。

科学や保健政策分野における論文を多数執筆し、複数の名誉学位を授与されている。

米国ウィスコンシン出身。

(グローバルファンド日本委員会による仮訳)
原文 : http://www.theglobalfund.org/en/organization/executivedirector/